2010年6月22日火曜日

TIA式運転免許取得大作戦!!

日本の運転免許の仮免の試験にすら受からなかったという、まさに人間失格の烙印を押されたも同然な私であったが・・・。(これには深いワケがあります。詳しくはこちら

なんとかしてリベンジを果たすべく、コートジボワールでの免許取得に踏み切ったのであった。理由はただ一つ。日本の免許取得は高すぎるから。コートジボワールでは、教習所の料金が平均で12万FCFA(約2万4000円)する。教習所に行かないと運転免許が取れない仕組みになっているから、これは必要経費として割り切るしかない。一人当たりのGNPを考えると、この値段は高すぎるとしか言いようがないけど、それでも都市部に暮らす中産階級のホワイトカラー層には、払えない額ではない。その人の役職や職業にもよるけれど、だいたい月収の2~4割くらいだもんね。

村から出てきたようなタクシーの運ちゃんなんかは、どこかのカカオのプランテーションや街中で、一年か二年くらい汗水たらしながら働き、ためたお金で運転免許を取得して、次のキャリアにつなげていく。一方で、アフリカにいる外国人はよく、運転免許を「取得する」ではなく「買う」という言い方をする。まあ、お金ですべてが買える場所だもんね・・・。分かりやすいと言えば分りやすい。ちなみに、「追加料金」を支払うことで、学校に通うことなく免許証がもらえてしまったりする。忙しい人向け(?)の、闇商法だ。

こんなんだから、人によって運転免許の意味合いが全然違う。

さてさて、私はというと、目的はただ一つ。コートジボワールの免許証を、日本の免許証に書き換えることであった。しかし、日本では本当の道路すら運転経験のないこの私が、アビジャンの無法地帯と化しているような道路で少し練習をしただけで、交通ルールの厳しい日本という国の免許書き換えの実技試験に合格するとは到底思えなかったため(さすがのTIA的お気楽楽観主義者の私でさえ、これは無理だと直感した)、まずはコートジボワールの免許を国際免許に書き換えて、少し日本の道を運転してから書き換え試験に臨もうと考えた。

完璧な作戦。今回こそは、日本で絶対に免許を取ってやる。

ところが、仕事が忙しかったのと、私のTIA的「『明日こそは教習所の申し込みをしよう』『ああ、今日こそ行くぞ』『まあ、来週でもいいか』シンドローム」のせいで、あれよあれよの間に時間が経ってしまった。その間なんと二ヶ月半。どんだけTIAなんだか、まったく。自分でも呆れてしまう。

アビジャン生活も二ヶ月半が経った頃、当初の予定では二ヶ月間であった私のアビジャン滞在が、どうやら半年以上に延長されるかも知れないことが判明した。会社そのものがTIAだったから、いつもそれもかなり直前(というか、むしろ時間切れ後)に、あいまいでいい加減な方向性が明らかになるのであった。まぁそれはいいとして。そこで、いよいよ私の免許取得が現実味を増してきた。コートジボワールにこれからまだしばらくいるのなら、この際に本当に免許を取ってしまおう!!

ところが、日本の道路交通法について調べていくうちに、喜びは消えて私の心は打ちのめされてしまった。どうやら、日本で外国免許を書き換えるためには、免許取得日から数えて三ヶ月間、その国に滞在しないといけないらしいのだ。同僚には、免許を取得するには最低でも一カ月から一ヶ月半はかかると見たほうがいいと言われていたため、単純計算してももはや手遅れということになる。

一週間ほど、免許のことは忘れようと自分に言い聞かせる日々が続いた。こんなにオイシイ話があるわけないじゃないか、自分。目を覚まして現実的になりなさい!ところが、ある夜それをポロっとシャカに話したら、こんな答えが返ってきた。

「お前は本当にアホだな。アビジャンでは、金さえあればすべてが可能なこと、もう忘れちまったのかよ?」

はいーーーーー、その通りです。すっかり忘れていました。

シャカ曰く、コートジボワールの運転免許は手書きだから、お金を少し積めば、日付の偽装など簡単にできてしまうというのだ。手書きの運転免許証・・・でも、確かに。ウガンダの学生ビザは、パスポートのページに直接ボールペンで日付を書きなぐっただけのものであったから、別に今さら運転免許証が手書きだろうと何だろうと、私は驚いてはいけないのだ。日付の変更は、1500FCFA(約300円)もあれば足りるであろうとのことだった。安っ!!これで、十一月ではなくて九月くらいに免許を取ったことにしてもらっちゃえば、日本でも問題なく書き換えの申請ができる!!完璧なプラン。

更に、教習所は常に込み合っているらしい(というか、練習用の車の数が足りないだけ)のだが、更に「志」を渡すことで、二週間ほどで免許証が届いてしまうらしい。金さえあればなんでもできるって、こういうことなんですね。ようやく、免許証を「買う」ことの意味を実感する私であった。

教習所に電話をしてみると、わざわざ校長先生の息子さんが、私の職場まで説明をしに来てくれた。日付の改ざん作戦について彼に念を押して質問をしたところ、「問題ない」との返事が返ってきたので安心した。本来なら、アフリカの人の「問題ない」ほど怪しい言葉はないのだが、私はすっかり安心しきってしまった。これが、のちに大きなドッキリにつながるのだが。

とりあえず学科の授業を受ける。毎日一時間ずつのコースを一週間ほどだ。教室には、オシャレスーツを毎日着ている常にノリノリな先生(イメージとしては、『ミラノmeetsアフリカ』な雰囲気。意味わかるかな?)と、反応が遅そうな五十代くらいのおっさんと、あとは日替わりでおばさんや若造がちょこちょこしていた。それから私。奇妙な組み合わせである。


クラスメイトだったおっさん。Bon courage(がんばって)!!

ミラノmeetsアフリカな先生。どう?この白いパンツといい、オシャレめがねといい・・・。


学科の授業が始まった途端、私はマケレレへ戻ってきた感覚に襲われた。授業というか、このような空間では、アフリカはどこでも詰め込み式の聞き写し教育しかないのではないかと思わされる瞬間だった。とにかく、先生が言う道路標識や交通ルールの定義を、書き写し、一文一句逃さぬように頭に叩き込むしかないのだ。

先生は、書き写したポイントの内容に関する愉快な質問(?)を私たちにしてきた。これは、実際に試験にも出るような問題らしいんだけど・・・ここでは、そのいくつかを厳選してご紹介したいと思います。

Q1:追越には何段階あるでしょうか?

A:三段階。それは、追い越し前・追い越し途中・追い越し語のことである。

Q2:アビジャンからアクラ(ガーナの首都)まで車で行く際に、何種類の曲がり角があるでしょうか?

A:二種類。右折と左折。

Q3:事故の周囲には三種類あります。車が壊れるタイプの事故、人が怪我をするタイプの事故、それから、死亡事故のことです。この中で一番マシなのはどの事故でしょうか。

A:どれもマシではない。

Q4:la carte grise (直訳すると、灰色カード。車の保険の証明書のことである)は、何色でしょうか。

A:灰色。

ちなみに、このQ4に関しては、例の反応が遅そうなおっさんが何度も間違えてた。「赤?」ブー。「青?」ブー。「黒?」ブー。「白?」ブー。「・・・・・うーん、えーっと、えーっと・・・」だって。かわいいね。

フランスの何もかもをコピーしてきたコートジボワールでは、交通ルールから道路標識まで、すべてがフランスと全く同じだ。だから、「降雪時のチェーン装着義務」の標識がきちんとあるらしいことを、学科の先生から聞いた。灼熱低地のこの国で、どこに雪が降るのかという話だ。先生は、「ホラ、我々は、いつ何時も準備を怠ってはいけないから・・・」と言っていたけど。まぁね、備えあれば憂いなしだけど、「雪って何?」と聞いてくる人に対してこういうことを理論で教え込もうとしてしまうのがさすがTIAだなと思った。

「降雪時のチェーン装着義務」の道路標識。


ちなみに、この学校には一度、日本大使館の領事さんであった吉本系外交官のKさんもいらっしゃったことがある。教習所に通っている旨を伝えると、興味を持っていただいたため、連れてきたのだ。こんなコアなことに対して「おもろいなー、ええやんなー」と言うのは、趣味がぬか付けであり、日本からわざわざコートジボワールまでぬかを送ってもらっているというKさんならではだと思っている。外務省は、もっとこういう人材を登用するべきだよね。

さてさて、肝心の免許取得であるが・・・。

実はこの後、例の校長の息子のMaman(お母さん)にあたる校長先生が、ヴァカンス先のトーゴからアビジャンに帰ってきた。そのときに彼女に言われた一言で、私の壮大な計画は見事におじゃんになった。

「あのね、今年の後半から、免許証は手書きじゃなくてコンピューター管理になったの。だから、もうそういうことはできなくなっちゃったのよね。」

ほへ?でもさ、どうせちょっと多めに払えばどうにかなるんでしょ?

「それがね、この免許証の管理をしているのがフランス人たちの会社なのよ。彼らにはそういうのは通用しないでしょ?ごめんなさいね、うちの息子ったら・・・・もう叱っておくわね、ちゃんと。」

出た出たFrançafrique(フランスに支配され続けるアフリカ)!!うぜー。おフランスの奴らは、アフリカの政治や経済だけではなく、私の免許証取得すらも邪魔しようとしているのか!!!

ちなみにこの校長先生は、直ちに息子を呼び、私の目の前でタラタラと説教を始めた。息子は、三十近い男性である。アフリカの母ちゃん恐るべし。そして、母は偉大なり。あまりの迫力に、こちらが仲裁に入ってしまった。

という訳で、私は未だ免許を取得できずにいます。でもいいんです。次にどこか安い国に住んだときにでも、免許を「購買」すればいいだけの話だから・・・。次回こそは、道路交通法の三ヶ月滞在ルールに十分気をつけます。

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