2010年6月23日水曜日

汚職見聞録2

去年の十二月に一度書き始めた「汚職見聞録」。ごめんなさい、今さらですが、半年たった今、この情報を更新したいと思います。


* 役所*
出生証明書、パスポート取得、ID取得・・・などなど、もちろんbusinessをしないとどうにもならない書類の数々。それでも、この書類がないと、学校にも行けなければ仕事も見つけることができない。これをいいことに、役所勤めの公務員はものすごく稼いでいます。ちなみに、ワイロを払うことはなかったけど、参考までに私の涙ぐましいビザ物語を読んでみてください。TIA式お役所仕事はこのように進みます。

例えば、外国人。経済的に豊かなコートジボワールには、周辺の国々から、出稼ぎ労働者やビジネスマンが大量に流入しているの。法律上は、両親のどちらかがコートジボワール国籍であれば子どももコートジボワール国籍が取得できるし、1971年以前にコートジボワールで生まれた人は、全員コートジボワール国籍を取得できることになっている。これらの条件が当てはまらないとしても、コートジボワールで生まれた子どもには、象牙人の子どもと同じ権限(教育の権利、予防接種などの公衆衛生の権利、etc)が与えられることになっている。

うん、公式にはね。

ところがどっこい。On dit n’importe quoi et on fait n’importe quoi(ヤツラは言いたい放題のやりたい放題)なワケですよ。ほら、前にも書いたように、à Abidjan, on fait rien pour rien(アビジャンでは、誰もタダでは何もしちゃくれない)だからね。

だから「払え」ない人は、法律で与えられた権利すら得ることができない。そもそも、書類がないと、法律で与えられた権利の恩恵にあやかることなどできないからだ。

先日、両親ともにコートジボワール生まれのナイジェリア人で、自分もコートジボワールで生まれ育ったというタクシー運転手と話した。1971年以前にコートジボワール内で生まれた子どもには、コートジボワール国籍が自動的に与えられる法律が存在していた。彼曰く、彼自身は本来はその対象内であるのだか。書類上の彼の祖国であるナイジェリアは、コートジボワール以上に評判の悪い汚職大国だ。(しかし、汚職ランキングを見た限りだと、なぜかコートジボワールの方が下なんだよねぇ。どうして!?)だから、ナイジェリアのパスポートを取得したり、あれをしたり、これをしたり・・・がこりゃまた面倒いし、そのためにナイジェリアに行くのもいちいち時間とお金がかかってしまう。だからといってナイジェリア国籍のままだと色々生活に不便であるため、できればコートジボワール国籍を取得したいと言っていた。

しかし、法律上は可能であるはずのコートジボワール国籍取得も、実際には役所にいる役人がやりたい放題でなかなか進展しない。マケレレ大学でもそうだったんだけど、ここではルールなんてものは存在しなければ遵守もされておらず、全てはカネと権力とコネなのだ。

結局彼は、外国人滞在許可証を持ってはいても、ナイジェリアのパスポートは持っていないというヘンテコリンな状況に置かれている。何かあった時に、これだと不安だよね。

* 警察*

警察ネタに関しては、このブログでは書きすぎているくらい書いているから、もう今さら新しい情報を付け加える必要はないね(笑)。これからも、どんどん警察ネタには尽きないと思いますのでお付き合いください。

* 就職*

日本も今、就職氷河期だなんて言われているけれど、アフリカのそれに比べれば甘ちゃんだ。日本でも一部そうかもしれないけれど、TIA式シューカツには、ワイロと根回しが必要になってくる。こう書くと悪の権化のような印象を与えてしまうかもしれないが、実際の感覚としては、「おじさんの会社で働いている」とか「知り合いに頼みこんで、お店で働かせてもらっている」といった感じなんだけどね。あとは、いい成績や卒業認定を得るために学校や先生にも余分に「ギフト」を払うことに慣れてしまっている彼らにとっては、就職のときに積むお金など、もはや「ワイロ」という感覚ではないのかもしれないとすら、たまに感じてしまう。お中元やお歳暮みたいなものなのかしらねぇ。

こんなんだから、本当に実力のある人がなかなか登用されず、いつまで経ってもサービスの向上や業績の向上が望めないなどという企業や店舗が後を絶たない。

これに関係しているのかしていないのかは置いておいて、ウガンダに住んでいたときに忘れられない出来事があった。

マケレレの学生街であるワンダゲヤで、軽く晩御飯を食べようと思った時のことだった。そのお店には、とんでもないビッチ店員がいた。彼女、私が注文をしている時にケータイをいじり、注文したものとは別のものを持ってき、更にはお釣りをごまかそうとしたんだよ。ウガンダビッチに飽き飽きイライラな毎日を送っていた私は、もちろん彼女の態度にカチーンときたため、「何なの、客に対するその態度!!」と食ってかかった。すると彼女は、ハァーとわざと大きなため息をつきながらぶすくれ、こちらの神経を逆なでする行為に出た。こういう状況でぶすくれ&逆ギレをするのって、プライドだけは高いウガンダビッチがよくやる、お決まりパターンなんだよね。

あまりにもこの女がムカつくものだから、私は彼女の上司を呼んで苦情を言った。この上司である四十代くらいのセボ(男性)は、たかがハタチの留学生に、ひたすら平謝りをし、「彼女にも厳重に注意しておきますので・・・」の言葉を繰り返した。別に彼が悪いわけではないから、少し申し訳ないなとは思ったけど・・・でも、彼女がこのお店で働き続ける上で、こんなことを他のお客さんにもするのは、決して許されることではないからね。言いたいことをすべて言い切った私だが、セボの横で未だに知らんぷり&ぶすくれている彼女を見て、一気に怒りが再燃した。テメーにそもそもの原因があるんだろうが、BITCH !!!

そこで、その上司に向かって、私の目の前で彼女に厳重注意とやらをするように言った。こうなったら、栃木出身のハタチの女子大生も、道頓堀を闊歩している大阪のおばちゃんも、同じ人種である。クレーマーと化した私を前に、困った時のウガンダ人に特有の笑顔を浮かべ、オロオロするばかりのセボ。「あのー、そ、それだけはどうかご勘弁を。またあとで私からきちんと注意しておきますので・・・」「だから、後でやっても今やっても同じでしょう。どうせなら、私の目の前で注意してくださいよ」「えー、えー・・・・はぁ・・・」

と、途中まで話が進んだところで、このセボとビッチの力関係が私には分かったような気がした。このビッチは、上司であるセボよりも上の立場にある人とつながっているに違いない。それが援助交際相手のsugar dadyなのか、親戚なのか、パパの知り合いなのかまでは推測できないけど・・・。だから、現場で直接的には上司である彼も、彼女にはなにも言うことができないのだろう。

異常なほどに空しい感覚に襲われながら、この日は家路に就いた。


* イミグレ*

先ほど登場したナイジェリア人の運転手さんに聞いた面白い(?)話。そんなこんなでパスポートを持っていない彼は、ナイジェリアに帰る際にはこんなことをしているそうです。

もちろん飛行機は高くて乗れないし、お金があったところでパスポートがないからチケットの予約すら取れないよね。そこで、当然のことながら、里帰りの際には陸路で行くしかないのです。里帰りといっても、彼の場合故郷はコートジボワールなんだけどね。

陸路で行くには、ガーナ、トーゴ、ベナンを越えなければならないけれど、パスポートのない人が、「どこの国のどの国境の役人にいくらぐらい支払う必要があるのか」という闇相場がきちんと決まっているらしいよ。すごいね。一番安上がりなのは、トーゴなんだって。そして、一番お金がかかるのは、ガーナからトーゴに抜ける際の、ガーナ側のイミグレなんだって。こうして、要所要所でお金をばらまくことでパスポートがないことは黙殺され、何事もなかったかのように通してもらえるらしい。また、ガーナもトーゴもベナンも、コートジボワールの警察のように幹線道路に関所をもうけることがほとんどないため、違法入国者も安心して(?)bon voyageできるらしい。むしろ、こうしてお金をばらまいたほうが、パスポート取得にかかる費用よりも安上がりなんだってさ。



汚職なのか、「贈り物」なのか。これを見分けるのって、文化によって全然違ってきちゃうから、一口に「これは汚職だ11」と言い切れないところが非常に難しい。ただし、確かなことが二つある。

まず一つ目は、これがなくならない限り、アフリカからは「努力なんてしても無駄」なファタリズム的諦めモードが消えることはないだろうということだ。努力と勤勉を美徳とする日本人にとっては、この諦めモードの中で生活するのって、すごくストレスが溜まるんだよねぇ。

しかし、これと矛盾しているように見えるのが二つ目の点だ。それは、当初はあんなに汚職に対して過剰に反応していた私だが、TIAの波に飲み込まれるTIA生活が長期化するにつれ、だんだんとこの融通のきき易さに居心地の良さというか、便利さを感じるようになっていったことだ。今、日本のあまりにもきちんとしすぎた制度に戻って来られて安心する自分がいる半面、交渉の余地もなければ「ビジネス(=ワイロ額の値段交渉)」をふっかけることなどとんでもない!!という雰囲気に、「融通が利かないな」と不満に思う自分もいる。

そう、こんなこと書くと怒られてしまうかもしれないが、ワイロを欲しがっている相手との対峙こそが、アフリカ生活の醍醐味の一つであったりするんだよね。

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