2009年12月31日木曜日

TIA式いじめ問題

ウガンダでもコートジボワールでも旅をしていたときも感じたのだが、多くの(一部の?)アフリカ人権力者のアフリカの人々に対する態度(特に、貧しい人や社会的に立場の弱い人々に対する態度)というのは、見ているだけで、こちらまで辛くなってしまう。

私は日本人だ。だから、こんなエピソードに見られるような面倒な取引はたまにはあるものの、相手もVIP待遇してくれる。最初は中国人だと思われたり、か弱そうな(?)アジア人の女の子だと思われるから、そりゃ私だってナメられるよ。中国人は、権力者の扱い方に慣れてる&すぐに現地社会のやり方を覚えるから、とりあえず払うんだよね。だからこそ、私が強気の態度で日本のパスポートを見せると、急に手のひらを返したように態度を改める役人なんて、そこら中にいる。

だが、アフリカ人(アフリカ系外国人含む)は、アフリカ人であるというだけで、権力を悪用するアフリカ人の連中からナメられてしまう。アフリカの人は、とにかく権力を恐れている人が多いし、ワイロだってとりあえず払うからね。だから余計に、「弱い者いじめと権力の見せつけが、酒と女と同じくらい大好き」な当局のヤツラがつけあがるのだ。


本当に信じられない話だけど、ヤツらは、人にペコペコされ、異常なまでに敬意を持って接されるのを心から快感に思っている。自分があたかも偉大な人物であるかのように扱われたいがために、わざと意地悪をするなんてよくある話だ。相手が心から自分に敬意を示していないことぐらい、一部の賢い(?)権力者は分かっているはずだ。自分だって昔は、そのペコペコする側の人間だったのだから。それでも、このくだらない風習(?)は終わることがなく続いている。そんな表面的な敬意なんて、払われたて何になるんだという話だが。

ところがどっこい。見た目はアフリカ人でも、外国人や外国育ちの人には、ヤツラのくだらない恐喝行為は通用しない。 そして、そんなシチュエーションでのヤツラの悔しそうな顔といったら!!

例えば
アウア。見た目はアフリカ人であるアウアだが、彼女はれっきとしたフランス人。書類上もフランス人だけど、中身も相当強いフランス女性だ。しかし当局の連中は、最初からはそうだとは夢にも思わない。アビジャンでは、様々な場面で、汚職警察による身分証明書のチェックをされるが、彼女のフランスのパスポートを見ると、ヤツらはいつもつまらなそうな顔をする。

ここには当然、植民地時代から現在に至るまでみっちりと叩き込まれた「フランス人=自分たちよりも上」というメンタリティーが彼らの中に存在するのだが、目の前にいる黒人女性が「自分たちも上」のフランス人であることに、どうしようもない悔しさを覚えるのだ。こういうヤツらに限って、男尊女卑のトンデモ人間だからね。だから余計に悔しいのだ。せっかく威張り散らして、権力を見せつけ、カネを巻き上げるいいチャンスだと思ったのに!!といった感じだ。

エチオピア生まれのカナダ人女性とスーダンを旅していたときにも、似たようなことは何度もあった。見た目がエチオピア人の彼女だが、パスポート上はカナダ人。最初は偉そうな態度で接してくる当局だが、彼女のパスポートを見るなり、歯がゆそうな表情を浮かべながら態度を改めるのだ。

スーダンには多くの貧しいエチオピア人が出稼ぎに来ているため、スーダンの権力者はエチオピア人のことを相当見下している。それに加え、エチオピア人女性の一般的なイメージが「男の三歩後ろにさがり、男のために尽くす、慎ましやかな美しい女性」である(日本女性のイメージに似ているね)ため、自分たちの目の前にいるエチオピア人の容姿をした女の子が、普通のスーダン人には絶対に勝てる相手ではないカナダ人であることに、何ともいえない感情を抱く。

アウアの場合もマスキの場合も、「見た目がアフリカ人なのに中身が違う」だけでなく、彼女たちが女性であることも、当局の連中が悔しがる大きな理由だ。「女だから、少し脅せばあとは簡単だろう」「アフリカの女は(アフリカ人である)自分たちの女だ。『男女平等』だのうるさいことばかり言う外国の女とは違う」と考えていたらどっこい。彼女たちは自由と独立の精神を持っているではないか。自分たちにペコペコしてくると思ったのに、それどころか、平等な態度で接してくる。そして、彼女たちの持つパスポートの強さがゆえに、自分たちには太刀打ちできない。


ところで、このようにアフリカ人権力者がアフリカ人を蔑むのって、すごく皮肉だけど、ここでは社会全体に溢れているよ。うちの社長でさえこんな感じだもの



原因は何なのだろうか?

そんなの無数に存在するのだろうが、私は、以下の五つは見逃せないポイントだと考えている。そして、これらポイントの一つ一つが本当に複雑で、大きな変化を遂げようとしているアフリカ大陸の様々な事情がよく反映されている。来週は、ここに書かれた一つ一つのことについて、年明け早々詳しく書くね。

① 非常に多くのアフリカの人は権力を心から恐れており、権力に抵抗するなどという考えすら浮かばない。

先述した通りだが、これは確実に一番大きな要因である。権力者が調子に乗ってしまう地盤が十分にあるんだね。忍耐強い平和主義者な人々だが、それがあだになってしまっているパターンだ。

② Fatalismのせいでみんなが諦めてしまっている。

とりあえずペコペコし、とりあえずワイロを払う。これは、ここで疲れずに生きていくための賢いサバイバル術だが、これだから事態はいつまで経っても変わらない。

③ 多くのアフリカの人は、アフリカ人であることに劣等感を感じている。つまり、自分で自分を蔑み、自分の同胞をも見下してしまうんだね。

悲しいが、これが老若男女問わず、今日のアフリカの人の多くに共通して見られるメンタリティーだ。本当に頭のいい人や、素晴らしい人々というのは、当然この劣等感には染まっていないけど。


白人至上主義と、黒人性の否定。こうして考えると、植民地主義、特に、「劣った現地の文化を捨てさせて優れたフランス文化を取り入れさせ」ようとしていたフランス式植民地主義は、見事に成功したといえるね。「アフリカの年」から50年。表立ってはアフリカは自由になったが、ヨーロッパ列強の呪縛から本当に解かれるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

④ サハラ以南のアフリカでは、富や権力を「見せるける」傾向が強く存在する。

これは決して文化的なものではないけれど、この大陸の至るところに色濃くこの傾向が存在しているのは誰の目にも明らかな事実だ。これが人々の生活や考え方はもちろん、HIV/エイズの問題やアフリカ外への移民の増加にも大きな影響を与えていると言ったら、日本にいる皆さんは驚くだろうか。

この傾向について、私の友人であるアフリカ人知識人の多くが「アフリカは、完全に道に迷ってしまっている」と言っている。まぁ、どこの社会も、大きな変化の渦の中にいるときというのは価値観やメンタリティーも劇的に変わるわけだから、なにもアフリカに限ったことじゃないんだけどね。今の日本も似たようなものだ。

⑤ ③の劣等感と④の「見せつける」傾向のコンビネーション。

権力を持つ連中は、自分たちよりも唯一弱い立場であるアフリカ人庶民に、余計に権力を見せ付けたがる。外国人は自分たちよりも上だという考えが心のどこかに存在しているから、自然と「自分よりも弱い人々=アフリカ人庶民」ということになってしまい、彼らに集中攻撃をかけるんだね。



ああ忌々しい。

この「弱い者いじめ」について少しずつ糸をほどいていくと、結局はこれも、現代アフリカが抱える様々なジレンマや葛藤がこんがらがって発生した問題であることが分かる。日本の学校でのいじめ問題も結局は、現代日本の抱える様々なビョーキが原因だったりするよね。

いじめとは、する側にも問題があるけど、「見てみぬフリをする」層がいる限りなくなるわけがない。それがたとえアフリカだろうと、日本だろうと。そして、一番複雑で苦しい状況にいるのが、実は他でもないいじめっ子であるという点も、やっぱり共通している。ヒットラーが実は、とんでもないコンプレックスの塊であったのも同じだよね。

誰かを悪役と決めつけちゃえれば簡単なんだけど。

8 件のコメント:

まゆシャン さんのコメント...

「いじめとは、する側にも問題があるけど、「見てみぬフリをする」層がいる限りなくなるわけがない。それがたとえアフリカだろうと、日本だろうと」は、本当にその通りだと思います。MNでmulticultural educationのクラス取ったんだけど、Racismに立ち向かっていかない人はRacistに変わりないって。だから働きかけていかなきゃって思うんだけど、結局まだ何もできていない私です。。。

Natsuno さんのコメント...

そうそう、まさにそうだよね。racismに対して文句ばっかり言って、諦めの姿勢をとっているっていうのは、racismを自分から助長しているのと一緒だよね。難しすぎるーーーー。新年早々難問だね。こういうことは、七草粥以降の落ち着いたときに、頭をフル回転させてじっくり考えたいよね。

まり さんのコメント...

いつも楽しくブログを読ませてもっらっています。アフリカに行ってそこのパワーを感じたいたいと思うようになりました。しかしやはり未知の世界です。知り合いの紹介以外にアフリカに行けるようある程度サポートしてもらえる方法はないのでしょうか?よかったらアドバイスをお願いします。

Natsuno さんのコメント...

まりさん
お返事が遅くなってごめんなさい!!
アフリカいいですよ~カモン!!

何を目的でどこに行くのか、期間はどれくらいなのかなど、もう少し詳細を教えていただけたら、少しアドバイス(?)ができると思います。なので、もう少し詳しく教えていただけませんか?

まり さんのコメント...

お返事うれしいです。
私は大学1年生なのですが、ナツノさんのブログを読んでアフリカのパワーって何だろう?人と触れ合って感じてみたい!と思っただけなので、具体的な目的があるわけではありません。
また、英語しか話せないので英語圏しか行けないと思っています。
期間は2週間くらいがいいです。不安なので。
女の一人旅がそもそも可能なのか‥?ナツノさんのブログを読んで、その生活が不思議でなりません。

Natsuno さんのコメント...

女の子の一人旅はねぇ・・・大丈夫だよ!!なんか、あまり情報とかないから心配になっちゃうだろうけど、実際何の問題もないよ。もちろん、それなりに色々あるけど、そういうのを全部笑い飛ばせるように最終的にはなると思うよん!!

英語圏かぁ。うんうん、いいね。私は東アフリカ沿岸を中心に、南アからエジプトまで旅をしたんだけど、東はほとんど英語圏だしね。その旅の様子も本当はブログに書きたいんだけど、なかなか時間がなくて・・・でも、日本に近いうちに戻るので、そしたらかけると思います!!2週間かぁ、残念。もうちょっと長くいられればベターなんだけど。2週間なら、ケニアなんかいいんじゃないかな?それか、ちょっとマイナーなところだとマラウイはよかったよ~。

まり さんのコメント...

アドバイスありがとうございます。
アフリカの情報は少ないですが、逆に危険情報は目につくので、ツアーや仕事関係で、知り合いの協力があってしかあまり行かれないんだと思っていました。お金を貯めて勇気を出して在学中に行きたいと思います。
長期滞在も考えたいです!

simul さんのコメント...

とても興味深いです そしてリアルです。ブログでなければ知りえない内容のような気がします。周りから見るリスクではなくて、リスクの中から・・ 尊敬します