2009年12月30日水曜日

ミュージックビデオ 南ア・エチオピア・スーダン編

東アフリカ西アフリカ以外の地域の音楽についても、ついでだからここで少し紹介するね。

まずは南ア。私が南アにいたのはほんの一ヶ月間程度で、しかもその間テレビは一度も見なかったから、ビデオについてはよく分からないんだけど・・・。

Lucky Dubeは、結構世界的に有名だよね。皮肉なことに、私が彼の音楽を聴くようになったのは、ウガンダ留学中に起きた彼の死がきっかけだったりするんだけど。

この日、ヨハネスバルグで彼はカージャックに襲撃され、自分の子どもの目の前で殺されたんだって。ウガンダで売られている新聞は、どれもこの事件を一面記事として扱ってたよ。「The Continent grieves(大陸が深く悲しむ)」っていうから、どんなVIPが亡くなったのかと思ったら、Luckyだったんだね。カンパラ市内のタクシー(乗客をぎゅうぎゅう詰めにする日本の中古バン)って、お互いに初対面の乗客同士があれこれと色んな噂話をするんだけど、Luckyが死んだときは、数日間は、彼の話でもちきりだった。





南アフリカ・ダーバンのストリート。


色んなアーティストのポスターがあるね。


Lucky Dube!!!



南アフリカの音楽を色々聞いてみたい!!という人には、The Great South African TripというCDがとりあえずおすすめ!!もちろん私のi-podにも入ってるよん。詳細はこちら

あとは、魔笛。南アフリカの「魔笛」が東京で公演をしたときに見に行ったけど・・・ごめんなさい、途中から気持ちよくてウトウトしてました(笑)。ただ、衣装から舞台構成から楽器まで、「あぁ、確かにモーツアルトなのに・・・えぇ!?モーツアルトだよね?」という感じだったよ。なんとなく分かるかな(笑)?モーツアルトって、魂だのパッションだのエネルギーだの激しさだのとはかなりかけ離れてて、なんだかしっくり来ないなと感じていたけど・・・さすが、南ア音楽界はやってくれました!!

パリにいたころ、街中のあちこちで、この南ア版魔笛の宣伝を目にした。オペラの公演地がどのように決まるのかなんて知ったこっちゃないが、「へへへーん、君たち、今から宣伝始めてるの?遅いね、東京はもう八ヶ月前に公演済みだよ~。ちょっとこのオペラの良さに気づくのが遅かったんじゃないのかな~?」という優越感に一人で浸っていたのをよく覚えている。

でもとりあえず、南アに続いて、アフリカ勢にはもっともっとヨーロッパ芸術の権威に挑戦してもらいたいね。植民地勢力が殺そうとした芸術。西洋の権威が未だに対等な存在として見なしていない文化。これら芸術や文化に対するディスクールが変わらない限り、今の不平等な政治も経済も変わらないんじゃないかな。

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次にエチオピア。エチオピア音楽!!!めちゃめちゃ大好きです。聞けば聞くほどハマります。その独特のリズムやこぶしを効かせるあたりが日本の演歌となんだか似ているの。

エチオピアの長距離バスって、何時間も(時には数日)かかるようなドライブ中、ずっとずっと同じテープを繰り返し流すんだよね。だから、目的地にたどり着く頃には、「テープの歌をほぼ完璧に鼻歌で歌えるようになっちゃう」なんてこともよくある。このエチオピアの音楽がですよ、美しいエチオピアの風景にこれまたマッチしているんだな。今でも、i-podに入っているお気に入りのエチオピア音楽を聞くたびに、私の心はいつのまにかエチオピアを旅している。

道路の質が悪いからねぇ。だから、こうして道なき道を進むこともしばしば。そんなときも、音楽はガンガンです。


これは、バスじゃなくて、トラックをヒッチしたときの写真ですが、

ここでももちろん、BGMはエチオピア音楽。国旗の下に貼られている三菱のステッカーには、

Ethio-Nipponって書いてあるの。見える?


これも、バスの車窓から(!!)の一枚。

かなり道幅の狭い山道を、人&荷物&動物でぎっしり詰まったバスは、

のんびりと進みます。エチオピア北部・シミエン山脈にて。


美しいエチオピア中南部。ああーーーーノスタルジー。


これも、エチオピア南部の車窓からの風景。マーケットだね。


美しいエチオピア南部の車窓から。


タイヤのトラブルのせいで、一時間半から二時間くらいこんな状態なこともしょっちゅう。

この日は、オランダ人のご夫婦もバスに乗っていました。

外国人はまずバスには乗らないんだけど、珍しい!!

この年になってもこうしておんぼろバスで旅するなんて、素敵なご夫婦です。


エチオピアの長距離バスの様子。真ん中にいるめがね君は、本当にマジでアフリカにまで来ちゃった中西君。


エチオピアの風景。旅をしていれば、こんなこともそりゃ起きますよ。





ウガンダ留学中もね、泣きたくなったり辛くなってしまったら、私はいつもエチオピアの音楽を聞いていた。今でも、「あ、ちょっとイライラがたまってるな」と感じたら、エチオピアの音楽を聞くようにしている。それほど、この音楽は私にとって、精神安定剤とも言える存在なのです。

エチオピアは、アフリカで唯一、外からやって来た人々に支配されなかった国。まぁ、*エチオピア国内の植民地主義らしきものはずっと昔からあって、今日でもそれが、国内や近隣諸国との不安定な状態をあおっているといえばあおっているんだけど。

*一番力の強いアムハリ人が、他の少数民族をずっと昔から支配し続け、現在の中央政府も彼らを(水面下で)弾圧し、彼らのエチオピア人化(=アムハリ化?)を奨励してるの。ちょっと中国に似てるかも。

まぁ、エチオピアについてはまた後でじっくりじっくり語ることにいたしまして。とにかく、エチオピアはアフリカ大陸の中でも非常にユニークな立場にある国で、独自の文化が強烈な光を放っているような場所なんです。誇り高き人々は、それはそれは母国を心から愛しておりまして、この精神は音楽にもよく反映されているね。「アメリカの真似をしてナンボ」な東アフリカや西アフリカとは対照的です。

エチオピアのビデオには、国旗がやたらと登場する。私が滞在したのがちょうど北京オリンピックの頃だったこともあり、ディバーバなんかの世界的ランナーが試合で走る姿も、ビデオの中で使われていたり。それから、伝統衣装を着た人々が、伝統舞踊を踊っている映像もかなり多いね。ちなみにこの伝統舞踊ですが、頭をやたらと激しく振る。私も挑戦したけど、一分も持たなかった。車酔いならぬダンス酔いをします、ハイ。

ここでいう伝統衣装ってのが、当然アムハリの伝統衣装(地域によってデザインが若干異なる)というのがポイント。エチオピアには二ヶ月くらいしかいなかったけど、その間、ミュージックビデオを目にする機会はいくらでもあった。それなのに、少数民族が登場するミュージックビデオをあまり見なかったのは、私の気のせいでしょうか・・・。一応、少数民族が登場するには登場しても、なんだか「一つのエチオピア」をプロパガンダするような、そんな政治的な雰囲気を感じ取ったのは私だけでしょうか?(北京の空港には、中国の様々な少数民族の伝統衣装を着ている、はちきれんばかりの笑顔の人々の絵が描かれているのとちょっと似ている?)エチオピア長い人、そこのところどうなのか教えてください。

あとは、ミュージックビデオの中には、日本の茶道にあたるブンナ(コーヒー道)の様子とか、国民食であるインジェラを料理する様子とかが収められているけど・・・どれもこれも、アムハリ色が強いようにしか見えないのは、私のエチオピアに関する知識が少ないせいなのでしょうか?

もちろん、ウガンダビデオのところで詳しく書いたようなイチャイチャビデオもあるけど・・・それがさ、なぜかエチオピア人がいちゃついてても、いやらしい感じがしないんだよね。清純派だし、むしろ超カワイイの!!見ているこっちがニタニタしてしまう、そんなイチャイチャビデオです。

エチオピアで一番人気の歌手は、やっぱりTeddy Afroじゃないかな。彼は、私が一番好きなエチオピア人アーティストでもある。かなりのイケメンだよ。歌は全部アムハリ語だから、何を言っているのか私にはよく分からないけど、母国を愛する気持ちを歌ったり、普通のラブソングなんかも歌ったり。ただ、彼は反政府的な歌も結構多く歌っているようで、ずっと当局からマークされていたらしね。彼のカリスマ性と音楽の才能、それに加えてこの反権力精神とくるでしょ、そりゃ、スーパースターになりますよね。

2008年、Teddyはアディスアベバの自宅付近で起きたひき逃げ事故の濡れ衣を着せられて逮捕された。彼が逮捕されている間、エチオピアでは、公の場所で彼の歌を流すのが禁止された。もちろん政府としては、「ひき逃げ事故を起こすようなヤツの歌を流したら、風紀を乱す」という理由でカモフラージュしたけど。私はちょうどその頃エチオピアにいたんだけど、ウラでは当然彼のCDは売買されているし、道端では彼の写真がなにげに他の人の写真に紛れて売られているし・・・という状態だった。やはり、政府の圧力では、民衆のパワーは抑えられないね。



アディスアベバには、原宿みたいに、有名人の写真が道端で売られている。
Teddyは右下の方にいるね。下から三列目の右から三番目、ネクタイを締めたちょび髭のおじさんは、
評判の悪い総理大臣です。ちなみに、この写真のすぐ横には、
イエスキリストや聖母マリアの絵が売られていました。なんでも混ぜちゃうこの感じが素敵です。



2008年8月には、北京オリンピックで大活躍したアスリートたちの凱旋セレモニー(スポーツ省主催=政府主催)を見物すべく、アディスアベバのスタジアムに行ったときにも、Teddyの人気ぶりはすごいなと感じた。エチオピア人にとってメダリスト陸上選手というのは、「愛する母国の名を国際的に知らしめたすごい人々」であり、「自分たちの兄弟姉妹」であり―もうとにかく大スターなのだ。そんなメダリストの凱旋セレモニーというわけで、盛り上がりっぷりはすごかったよ。




エチオピアの大スター、オリンピックメダリストたち。

左にいる、金メダルを二つ首からかけたこのかわいらしい女性が、あのディバーバです。



選手たちがスタジアムに到着するまでの間、エチオピアンポップ(演歌?)をガンガン流して場内を沸かせていた主催者だったけど、当然、このような国民的行事にやって来た群衆が一番求めているのは、国民的スターであるTeddyの歌だ。しかし、待てども待てども、彼の歌が流れてくることはない。(政府主催の行事なんだから、当然っちゃ当然だけどね。)これにイラついた人々は、なんとTeddyコールを始めたの。




大興奮の観客。選手が到着する一時間以上も前なのに、この盛り上がりっぷり!!



会場全体から沸き起こるTeddyコール。当局の目の前なのに、堂々と・・・すげーな。これに慌てた主催側は、音量をさらに上げて別のアーティストの歌を流しまくるも効果なし。

Teddyを求める人々vsその火を必死でかき消そうとする政府。

なんだか、エチオピアという国のほんの一部を、縮図で見た気分でした。

FacebookにもTeddyのファングループがあるよ。私はもちろん、ファンの一人です。Teddyがついに釈放されたときには、もう書き込みの大洪水。興味がある人は、見てみてね。

他の歌手だと、Gossayeもいいよね。あー、彼の音楽を聞いていると、本当にインジェラが食べたくなる!!エチオピアに戻りたい!!

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ハルツーム政府の勢力内である北部スーダンとエジプトでは、もちろんアラブのポップが圧倒的な地位を確立している。アラブのポップといえば。「ズンチャ、ズンチャ♪ハビービ♪ハビービ♪」っていうイメージぐらいしか沸かないけどね。(ハビービ:アラビア語で「baby」という意味)

そうそう、スーダンの「金持ち子どものど自慢」みたいなビデオを見たの!!あれは、ハルツームに向かうバスの中でした・・・。もはや何が起きているのかなんてパッパラパーだったし、あれが果たしてのど自慢だったのか、根本的なところがナゾなんだけど・・・。

でも、ちびっ子スーダンキッズ(いや、そもそも彼らはスーダン人だったのか?笑)の才能には脱帽です。すましてばかりで全然笑わないし、小憎たらしいオーラがガンガン出てるし、おまけに観客(全員女性)のスーダンマダム(かなりふくよかな方ばかり)のご満悦な笑顔がアップで映し出されるごとに、私はちょっぴりイライラしていたけど(笑)。

ウィーン少年合唱団が世界一だと思っているあなたは、ぜひスーダンへ行ってみて、それでもウィーンの方がいいと思ったら「世界一」という表現を使いましょう。



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http://www.youtube.com/watch?v=fNXbwhW7NIg


Lucky Dubeのビデオ。歌もそうだけど、ビデオもメッセージ性が強い。お尻ばかり映しているコートジボワールのビデオは、足元にも及びません。



http://www.youtube.com/watch?v=FkWtbaIDnP4

Teddy Afroのビデオ。これは、政治色が強いやつね。

http://www.youtube.com/watch?v=NVTevqYNxuQ&feature=rec-LGOUT-real_rev-rn-1r-1-HM

エチオピアの風景や伝統なんかが詰まったビデオ。結構、エチオピア音楽の典型的なビデオかも。もちろんTeddy Afroだよ。


http://www.youtube.com/watch?v=THW7UHmRTys

Gossayeのビデオ。いい歌です。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。ウガンダのミュージックシーンの記事からずーっと読んできて正直アフリカのメインストリーム文化にげんなりしてしまいましたが、この記事を読んでteddyのようなアーティストが人気があるとわかりなんだかほっとしましたw