2009年12月29日火曜日

ミュージックビデオ 東アフリカ編

ミュージックビデオって、どこの国も面白いよね。最新のミュージックビデオを見ると、その国の流行や社会、文化が一目で分かる。昔のミュージックビデオを見て、「どうしてあの頃はあんなのがイケてると思ってたんだろう?」と疑問を抱いたことがある人なんか、多いんじゃないかな?

Jポップのビデオは、在日外国人にとっては相当の「???」だと思う。ここ六、七年ほどは、最新のJポップにほとんど触れていないから良く分からないけど、モー娘。のビデオなんて、どう思われていたんだろうね(笑)。

アフリカのミュージックビデオは、音楽のイメージをそのまま映像にするというよりも、ビデオで人を惹きつけて、興奮させて、人々に一瞬の夢を与える役割の方が大きいように思える。だから、ピカピカの車と女性の軍団は必須だし、衣装だって、アメリカの黒人ファッションを真似ようとしているものが多い。まぁ、どんなに真似ようと頑張っても、当然、「いかにも中国製」のチープなファッションで落ち着く場合が多いんだけど。ちなみに、女性軍団は必ずしも美女軍団でないといけないわけではない。とにかく、女の数が多ければ多いほどgood、それがTIAミュージックビデオっす。さすが。

ただ、ここの人は本当にミュージックビデオが大好きだから、この「一瞬の夢」にとてつもない妄想を抱く人が多い。だから、ビデオを製作する人は、ミュージックビデオが社会に与える影響をきちんと考えてから、金儲けだけでなくて責任感も持って製作にあたってほしい。まぁ、こんなこと言っても、責任感を持つ人なんて皆無に近いのだろうけど。

現代アフリカが拝金主義&富と権力の見せつけが大好き主義になってしまったのも、アフリカ各国やアメリカのミュージックビデオの影響が大きいといえば大きい。例えば、きちんとした情報が行き渡っていないアフリカ貧困層にとっては、ミュージックビデオの中で見るピカピカギラギラしたアメリカがアメリカなのだ。ビジュアル的な「ピカピカギラギラ」が、教育を受けていない人に与えるイメージの強烈さというのは、それはそれは大きい。だから、「こんな地獄を抜け出して、俺はアメリカに行きたいんだ!!」という貧困層の人にアメリカがどんな国なのかを聞いてみると、「○○のミュージックビデオで見たのだが、こうこうこうで・・・・」という返事が返ってくるなんてことは、日常茶飯事だ。

HIV/エイズもそうだね。ミュージックビデオから感化され、多数の女性と関係を持つことを夢見るダメ男はたくさんいるわけだけど、そのせいで、どんなにHIVの予防教育をしても、無駄に終わってしまう場合がある。そりゃ、「HIVは□□で△△で危険だから、不特定多数の人と性的交渉を持ったらダメですよ」なんていう小難しい話をダラダラされるのよりも、三分間のミュージックビデオのほうが、頭に強く残るよね。先ほど述べた拝金主義に感化される女性陣は、ビデオに見られるようなゴージャスライフを謳歌することを夢見て、援助交際に走ったり、より金持ちの男性を求めて次から次へと交際相手を替えてしまう。もちろん、これらはHIV感染率を高める大きな原因です。

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さてさて、東アフリカの音楽は、西アフリカや中央アフリカと比べると、チンタラダラダラしているものが多い。当然私は、東アフリカのミュージックビデオの中では、ウガンダのビデオに一番慣れ親しんで(?)いる。でもね、ウガンダの音楽って、ただでさえチンタラしている東アフリカの音楽の中でも、とりわけチンタラ度が高いんだよ。ほら、金子みすゞさんだって「みんなちがってみんないい」って言っているくらいだからさ、別にそれはそれで、チンタラしていようがしていなかろうが構わないんだけど・・・ウガンダのミュージックビデオ。あのウガウガさが大好きです(笑)

ウガンダの音楽って、リズミカルなダンスミュージックとはだいぶかけ離れているものの、壮大なバラードとも全然違うから、どうしてもビデオの内容は演技モノが多かったりする。「このビデオを作る際に、どうしてこの人たちはいつも同じ発想しか得られないのだろうか?」といつも不思議に思っていたが、ウガンダミュージックビデオの演技モノというのは、セボ(男)とニャボ(女)がイチャイチャしているのばっかりなんだよね(笑)

イチャイチャビデオは世界中にあるけど、ウガンダの場合、まず、出演者の表情がニタニタしているの。ニコニコじゃなくてニタニタ。セボは鼻の下を完全にのばしちゃってるし、ニャボはニャボで、「ナンパされるの&男に貢がれるのが大好きなウガンダビッチ」特有の、“あの表情”を浮かべているんです!!(←ウガンダ経験者しか分からないような表現を使ってごめんなさい。)

“あの表情”がイマイチよく分からないという皆さんのために説明をすると、うーん、何て言ったらいいのかな。「セボにお姫様扱いされて、勝ち誇った気持ちを素直に顔に出したいのに、真面目でシャイな女の子を演出したいから、頑張って抑えようとするものの、込み上げてくるニタニタだけは隠し切れない」と言えば、なんとなく想像つくかな?

また、多くの場合、セボ一人につき複数のニャボが存在するのだが、これもなんだか見ていてイライラするんだよね。アメリカのミュージックビデオにも、男性アーティストの周りに美女がゾロゾロ・・・なんてシーンはよく登場するけど、あくまでもクールに絡んでるよね。CGでかっこよく編集されているし、照明も、画質も、全てが合わさって、そこまでいやらしい印象は与えない。ところがどっこい、ウガンダ音楽の場合、CGなし、照明なしで、おまけに、日本のお父さんが子どもの運動会で使うビデオカメラでの撮影とくるわけだから、なんともいえない雰囲気が直に出まくりでありまして(こう思うのは私だけ?)。アメリカのビデオが「ここにいる女たちに指一本でも触れてみな。そしたらどうなるか分かってるんだろうな」だとしたら、ウガンダのビデオは「ヘヘヘ、ここにいる女はみんなオイラのものだぜ、うひょひょひょひょ」なのである。ちょっとナツノワールドな表現だったね、分かりにくくてごめんなさい。まぁ、いいんじゃない?ウガンダらしいじゃん。

一度、ムズング(白人)女性二人を両腕に抱えて、鼻の下のばしながら演技をしている男性アーティストのビデオを見た。白人女性を「手に入れる」のは世のお馬鹿なウガンダ男性の夢であり、大きなステータスにも繋がることだ。だから、ミュージックビデオが「人々に一瞬の夢を与える役割」を担っているこの国では、製作側としては、正しいビデオを作ったと言える。そうでないと、現実世界でムズング女性を「手に入れる」なんて、大多数のウガンダセボにとっては一生叶わぬ夢物語にしか過ぎないからだ。

このビデオは、たまたまウガンダ在住の日本人女性と一緒にいたときに目にしたのだが、「このビデオのアイディアは、コンプレックスから来てるよねぇ。」という点で私たちは同感だった。

前に、大学でポストコロニアリズムの授業をとっていたときに、「植民者とは、人々の頭の中で非常に男性的なイメージがあり、植民地側の人間は、女性的なイメージがある」という話になった。確かに、アフリカ(=女性)は常にヨーロッパ(=男性)に語られるobjet(対象)であった(あり続けている)という意味では、非常にこの理論は現実にマッチしている。また、ヨーロッパが絶対的な力でアフリカを押さえつけたことや、「白人男」がアフリカにやって来て人や資源を盗んでいったということ、「ヨーロッパが上でアフリカは下」という概念が使われたことでも、植民者のイメージはオトコオトコしている。

このビデオは、その昔、白人男の手に渡ってしまった俺たちだが、今はこうして、ヤツラの世界から来た白人女を逆に「手に入れ」て「支配」することができるんだという、勝ち誇ったというか、コンプレックスというか、なんだかそんな必死なウガンダ男性の心理を表しているようだった。ミュージックビデオ一つで考えすぎかもしれないけど、ポストコロニアリズムというのは、芸術やエンターテイメントによく表れているっていうしね。

このビデオの中のムズング女性。ニコニコしていた彼女たちが、表情が若干引きつっていたと感じるのは、私だけであろうか。

もちろん、イチャイチャビデオ以外も(少数ながら)あるよ。でもね、そのどれもがウガウガしてるんだよね(笑)。

例えばウガンダのダンスミュージックビデオ。典型的な例を描写すると、こんな感じ。体格のいい厚化粧お姉ちゃん四人組が体のラインにぴったりのシャツ&ズボンを着用して、コンクリートにヒビの入ったガタガタな駐車場で踊っている。しかも、この踊りからもやる気が感じられず、四人の動きはばらばらだし、リハーサルはちゃんとやったんですか?と、監督に聞きたくなってしまう衝動に駆られる。まぁ、ウガンダだししょうがないね。

あとは、私が大好きなのは、大自然の中やバナナ畑の中で歌い踊るイマドキアーティスト。これはご当地モノというか、いい感じだと思うよ。

まだ、同じ東アフリカのミュージックビデオでも、ケニアやタンザニアのビデオはお金も少しはかかっている感じはする。

Bongo Flava(タンザニアのヒップホップ)のビデオに関しては、ちゃんとスタジオで撮影されていたり、CG合成が加えられていたり、カメラもわりと本格的なものが使われていたりしているため、結構本格的だ。アーティストが歌う姿も貫禄がある。だから、初めてケニアでミュージックビデオを見て、私は衝撃を受けた。

ちなみに、Bongo Flavaはかなりいいよ~。おススメです。

ミュージックビデオ 西アフリカ編に続く



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youtube で見つけられたウガンダミュージックビデオ。チェケラしてみて!!

http://www.youtube.com/watch?v=nqvpsbnbcek

ジュリアナちゃん。超かわいいし、歌も上手い!!彼女は、HIVへの関心を高めるために、色々頑張ってるんだよ。

http://www.youtube.com/watch?v=CMyIhV_YlVc

結構アメリカナイズしているウガンダビデオ。

http://www.youtube.com/watch?v=mdPYKUlCIRk&feature=PlayList&p=0BDCF2AA422B4142&index=1

まだ許容範囲内のイチャイチャビデオ。壮大なナイル河の源流でのダンスがウガンダです。


http://www.youtube.com/watch?v=uq9RBtHSLYI&feature=PlayList&p=0BDCF2AA422B4142&index=17

ウガンダのダンスミュージックビデオ。懐かしすぎる。

http://www.youtube.com/watch?v=DgOohwyk1gE

車と女軍団、まじで超典型的。これも、結構アメリカナイズされているビデオだね。編集がきちんとされているし。




2 件のコメント:

雅一 さんのコメント...

ナツノチャンのブログいつも拝見させていただいてます。とても面白くリアルタイムでアフリカのことが伝わってきますね。素晴らしい文章に感謝・・・最高です!

Natsuno さんのコメント...

雅一さん、返事が遅くなってごめんなさい!!いや~、こんなにくだらないブログでも、そう言っていただけて本当に嬉しいです。アフリカに興味があるんですか!?よいお年をお過ごしください。