2009年12月15日火曜日

私の会社について①~マイクロファイナンスと送金と、それから余談(ブラジャー作戦とか 笑)~


突然変なフランス語で電話をしてきた日本人を、二日後には採用(?)してしまう会社。元サッカー選手が出資している会社。果たしてこれは、どのような会社なのか?

話が上手すぎる。怪しくないのかな?

正直、何度もこう思ったが、「タダでフランス語の勉強ができて、かつアフリカにも行けるって思えばまぁいっか!!」と開き直り、この話に乗ってみることにした。別に、この会社に就職するかしないかは後で決めればいいんだしね。だから、保険という意味でも、日本の大学に席は残したままにして日本を出ることにした。帰れる場所を作っておくっていうのは、ある意味ですごく大きな精神安定剤になると思ったからだ。

実際に、こういうカタチにしておいて本当に良かった。うちの会社・・・かなりTIAで予測不可能なの(笑)。だて、当初の予定では「パリに二、三週間滞在したのちに、まずはコートジボワールで二ヶ月、それからカメルーンで一ヶ月経験を積んでもらう。その後、この会社がアフリカの新しいパートナーであるアジア、特に日本と、とどのようにしたら上手くコラボできるのかについて提言してほしい。」っていうことだったのだから。そうだとしたら、こんなペーペーの不真面目なプータロー女子大生を選んでしまった彼らは、大きな人選ミスをしたと言ってよかろう。まぁ、私がテキトーなら彼らも彼らで負けないくらいテキトーなので、結局はそれがかえってよかったのかもね。

結果から言うと、最終的にパリには三ヶ月、その後コートジボワールには、来てからすでに三ヶ月が経過しました。この後さらに三ヶ月はいることになりそうです。当初の予定との、このギャップ。もはやTIAとしか言いようがないね。まぁ、所詮私の人生なんて、こんなものです。ケニアとタンザニアで適当に遊ぶはずが、気がついた時には、旅はアフリカ大陸縦断になっていたぐらいだしね。

今まで、友達や家族に「どんな会社なの?」と聞かれても、説明が面倒くさかったので「マイクロファイナンスだよ」と適当に答えていたが、今回は私たちがどのような仕事をしているのかについて少し真面目に書こうと思う。この会社、マネージメントは相当TIAだけど、アイディアだけはピカイチに素晴らしいので。一応国際特許もとってるみたいだよ。社長(カメルーン人)、TIAのクセに、そういうところはちゃんとしているんだからね、もう。

うちの会社は、確かにマイクロファイナンスで間違ってはいないのだが、みんなが「マイクロファイナンス」という言葉ですぐに思い浮かべる、あのグラミン銀行のように、貧しい人に小額の貸付を行っている、専門的にはマイクロクレジット(小額融資)と呼ばれるタイプのマイクロファイナンスとは少し違う。簡単に言うと、アフリカの外にいるアフリカ系ディアスポラ(移民・出稼ぎ労働者)の経済力を、より効果的な形でアフリカにいる人々(主に、ディアスポラの家族や親戚)の生活の向上に結びつけるための仕事をしている。従来の伝統的な枠に収まりきらない、むしろその中にすら入れてもらえないような人たちを対象に、彼らの経済力や生活の質を高めようとするビジネスだ。

グラミン銀行のユニス氏は、2006年にノーベル平和賞を受賞。
ちゃっかり来日したときに、会ってきました~。
左は、ラテン系じゃないベネズエラ人のディエゴ君。


サハラ以南のアフリカ系ディアスポラについてはこちらを参考に。IMFの統計によると、これらアフリカ系のディアスポラが本国に行っている送金額は、2002年には、公式ルートだけで8810万USドル(アメリカドルの価値はかなり下がったけど・・・今日のレートで約79億円)で、2020年までにはこの数字が2億USドル(約180億円)にまで伸びると予想されている。これは、国際社会のアフリカへの援助額の総額を遥かに超えてるんだって。数字というのは見方によってどこまでも大きくなったり小さくなったりするし、例えばどこまでが「送金」になるのか、どこまでが「アフリカへの援助額」になるのかなどは曖昧だけど・・・とりあえずうちの会社では、このような数字を使ってプレゼンをしている。こうして眺めると面白いでしょ。アフリカのディアスポラの力はすごい。彼らを「アフリカ人」と見なすのか、それとも「外国人」と見なすのかも難しいアイデンティティの問題だけれども、少なくとも、エゴたっぷりの外からの援助なんかよりもいいんじゃないかなと私は思う。

銀行口座がある人同士の送金は、手数料が若干高いけれども簡単だ。問題は、口座を持っていない人。今でこそ、少しずつマイクロクレジットの口座を持つ貧困層は増えてきてはいるが、彼らは、銀行を使った送金サービスは受けられない。どうして銀行口座をもてないのか?理由はいくつかある。口座開設に必要な書類をそろえられない人。これは、汚職や不正が蔓延している政府機関に問題がある。弱い者いじめをするのが政府の方針だからね、基本的には。だから、必要な書類をそろえようにもワイロを要求され、結局はそのワイロすら払えないような人たちは泣き寝入りするしかない。そもそも、住所のない人、出生届すらない人、政治的な差別のせいで書類が存在しない人(例:お前は○○民族の出身だから、△△の書類は○○のお前には用意しないのが政府の方針だぜ~。銀行口座を開設するのに△△が必要だと?でも、その書類がそもそもないんだからしょうがないじゃ~ん。どうしてもっていうなら、俺の権力を使ってなんとかしてやれなくもないが、その代わり高くつくのは分かってるよな?)なんていうパターンもあるしね。

または、口座開設に必要な頭金ですら払えない人や、銀行口座手数料を払えない人もいる。こっちの銀行の多くは、口座を持つだけで銀行にいくらかお金を定期的に払わなければいけない。こればかばかばかしすぎて、ウガンダにいた頃の私は、現地に口座を開かなかった。今、コートジボワールではUBA(United Bank of Africa)というナイジェリア系の銀行に口座を開いたが、ここを選んだのは、UBAだけが手数料をとらない銀行であったからだ。

簡単に言うと、銀行なんて所詮、ある程度お金のある人しか相手にできないんだよね。そうならざるを得ない事情も分からなくもないが、これが現地社会のニーズに合っていないのも事実だ。人口のほとんどが、銀行のような既存の制度を利用できない、あるいは利用させてもらえないようにな人々なのだから。

そこで活躍しているのが、Western UnionやMoney Gramに代表されるようなマイクロ送金業者だ。これら業者を通すと、口座を持っていない人も、身分証明書一つでお金の受け取りが可能となる。しかも、送金側の手続きが終われば、すぐに世界中で受け取ることができる。業界最大手のWUの持つネットワークはすごいよ。途上国にいると、街中で、果ては田舎の村にさえ、WUの黒と黄色の目立つ看板が目に飛び込んでくる。世界中どこにいてもアクセスしやすいネットワークと、長年培われた信用が、WUの最大の武器だね。手数料はものすごく高いのに、毎朝WUの前にはたくさんの人が押し寄せている。 ただ、送金事業はほぼWUの独占市場と化しているから・・・どうなんでしょうか。貧しい人から本当に搾り出させているよね。

また、今ではSMSを利用した小額送金も、すごくポピュラーだよ。なんてったって、今のアフリカは、世界史上空前の勢いで、ケータイの普及率がうなぎ登りなのだ。例えば、ケニアのSafaricomという会社は、私がちょうどウガンダに留学したころにSMSと電話番号を使った送金サービスを始めたんだけど、これがもう大ヒット!!

ここでは、みんな収入とか保証されていないでしょ?給料払われないなんて日常的だし。だからこそ、強い親戚関係や交友関係のネットワークを駆使してお互いに経済的に助け合うことが社会全体に根付いている。例えば、マケレレ大学の授業料。期末試験の直前まで授業料を払わない人が多いわ多いわ。学内に張られている案内文の情報が正しければ、期末試験一ヵ月半前の時点で、約6割の学生が授業料未払いである計算になるくらいだ。クラスメートに学費を支払ったかどうか聞いても「まだだよ」って言う人は多かった。「じゃぁ、いつ支払うの?期末試験前に払わないと、今学期、せっかく授業に出てたのに単位も成績もこなくなっちゃうよ!!(←ちょっと意地悪だった私)」と言うと「うーん、でも、たぶんあと二週間で村に住んでるおじさんと、イギリスに住んでるおばさん夫婦からお金が届くと思う。だから多分大丈夫。」という、本人もよく分からないけど焦らなくて大丈夫だろう的な返事が返ってきたりするだけであった。これじゃぁ、銀行だってみんなにお金は貸せないよね。

初めてケニアに行ったとき、どうしてあんなにSafaricomの代理店には人が殺到しているのかが不思議で仕方なかった。話を聞くと、どうやらSafaricomがWUと同じようなサービスをケニア国内向けに、しかも、もっと簡単で安くて手ごろにして始めたというではないか!!Safaricomは、この送金サービスのおかげで、アフリカを代表する社会企業として表彰を受けてたね。

えーっと突然ですが、ここでケニアで撮影した何気ない風景の中から、safaricomを探せゲームをやりたいと思いま~す。黄緑色の看板がsafaricomの目印です。ちなみにこの写真の黄緑色の看板は、safaricomとは別に関係ないんだけど、なぜか東アフリカでは、ケータイ会社とコカコーラとペプシの色を看板に使えば、とりあえず人の目に付くとみんな信じているもようです。だから、この黄緑色は、safaricomにあやかったただの看板ってことね。Nyahururuにて。

2008年1月2日、ケニアは選挙後の暴動がいよいよ悪化してきて、私はどのように死なずにタンザニアに逃げるかということばかりを考えていました。その日の朝、思い切って(メディアによると)戦場と化しているナイロビに出て、タンザニア行きのバスを探す(ってかバスがあるのかどうかも分からなかったから、賭けでしたね)作戦に出たんだけど・・・この写真を撮ったとき、相当ビビッていた二年前の自分を思い出します。そして、そんなところにもsafaricomは存在するのね。結局、ナイロビはただのゴーストタウンと化しているだけで、別に中心街は戦場でもなかったよ。軍隊やら戦車が多かったけど。


これは、ケニア沿岸のWatamu近郊にて。Watamu最高です。そしてsafaricomの看板はここにも!!



モンバサで乗ったトゥクトゥク。そしてちゃかりsafaricom。
モンバサのsafaricomには、年末だったこともあり、送金のお客が殺到してた。


そして私の大好きなナイロビにて。
safaricomバスだね。


今から地獄のケニア北部を抜けて、エチオピアに突入します!!のときに撮った一枚。
ケニア北部は、ケープタウン~カイロの大陸縦断の旅路(東回り)の中で、
もっとも過酷と言われている難所。Ishioloという町にて。
再び登場、モンバサのストリート。
safaricomの看板も・・・果物の裏から元気に黄緑オーラを出しています。

これは、ケニア中部のグレート・リフト・バリーをグルグルマタトゥ(乗り合いのミニバス)でドライブしてたときに、
エンストが発生し、立ち止まること一時間。そのときの一枚。
めちゃくちゃ典型的なキヨスクには、やっぱりsafaricomの看板が!!
ウガンダとの国境。なかなか人が集まらなくて、
マタトゥが発車できなくて(人が集まらないと発車しないのがアフリカの交通)、
暑いし臭いしだるいし、牛はうるさいしハエはうざいし・・・・
のときに撮った一枚。あの日はマジで暑かった!! safaricom見える?


アメリカにいる中南米系の出稼ぎ労働者のために、比較的安い手数料で送金サービスを提供しているMicrofinance International Cooporationという会社がある。なんと、この会社の社長さんは日本人の方だ。同じ日本人でこんな風に頑張っていらっしゃる方がいるのは、ものすごくこちらにとっても大きな励みになる。この社長さんは本当に素敵な方で、私がこのインターンの最初の頃色々悩んでいたときには、お忙しいのにも関わらず、励ましのメールを送ってくれたりもした。彼は、世界で最も権威のある社会企業家をであるアショカこの場を借りて、というのもなんだが、Graciaをお伝えしたいです。

この会社は、途上国の人々の生活を変えてしまうだけでなく、金融システムそのものに革命を引き起こしている。このインタビューを読んでみると、本当に社長さんのアイディアと行動力に脱帽だよ。彼は、社会に新たな変化を引き起こす社会企業家を応援するアショカ財団のグローバル・フェローに、日本人として初めて選ばれたんだって。

途上国の経済問題って、「お給料がくるのが当たり前で、銀行口座は誰にでもアクセス可能で、家計の計画が立てられ、無駄遣いさえしなければ、それが計画通りにいくなんてのが常識で、物価の上昇も比較的安定していて当然」という温室育ちの私たちには、頭で理論的に分かったつもりになっていても、それが実際に何を意味するのかがあまり実感として沸かなかったりするものだと思う。現に、アフリカの貧困層が抱える経済的な問題について「あぁ、あのとき大学のあの講義で言っていた○○とは、こういうことなんだ!!もっと実例を挙げて分かりやすく説明してくれればよかったのに!!」と、実際に現状を目の当たりにしてようやく理解できたことがいくつもあった。頭では分かっていたつもりだったんだけどね。

とにかく、国際経済やら資本主義からは散々いじめを受け、政府と銀行から制度上でのいじめを更に受け、ますます不利な状況に追いやられる人々ほどたくましい存在はないと思う。火事場の馬鹿力じゃないけど、そんな状況下でもなんとかしちゃう(というか、なんとかする必要性に駆られる)んだもの。財産全部をブラジャーの中にしまうとかね。

どうでもいい余談ですが(しかもかなりの恥さらしですが)、私も、そんなたくましいアフリカおばちゃんの知恵を借りて、旅しているときにはブラジャー作戦やっていました。左がドルで、右がユーロ、みたいな(笑)。これね、かなり安全だよ。盗まれない盗まれない!!現金なんか持ち歩かなければよかったじゃないかって?だって、ATMなんかない国だってあるのだから、最終的に頼れるのは現金だけなんです。仕方なかったんです。ドルやユーロなら、銀行がなくても両替所がなくても、至る所に存在するブラックマーケットで、いくらでも現地のお金に替えられるしね。万が一病気になったり怪我をしても、まず病院でクレジットカードなんか見せたって誰も治療はしてくれない。やっぱりお金を見せないと、残されたオプションは放置→最悪の結果・・・・だ。

話がかなりそれましたが。結論から言うと、そんな既存の制度からはじかれてしまう人々っていうのは悲壮感に満ち溢れた存在なのではなく、見方を変えれば、かなりかなり魅力的な市場にもなりうるのです!!!ということだ。でも、そのような人たちを魅力的な市場と捉えるには、従来の方法に捉われない、新しい金融制度を根付かせる必要がある。だから、MFIもSafaricomもグラミン銀行も誕生し、大成功しているんだよね。

ピンチをチャンスに変えるためには、やっぱりアイディアと度胸が何よりも必要!!!ですね。



2 件のコメント:

kedjenou さんのコメント...

アビジャンにおられたのですね。わたしもクーデタを挟んで一年滞在しました。まだ政治が混乱している中で逞しくがんばっておられたので感心。

たまたま学生とマイクロファイナンス視察にタンザニアを訪問するために、このページにたどり着きました。いまは日本におられるようですが、いつかお世話になるかもしれません。そのときはよろしく。

Natsuno さんのコメント...

こんにちは!
7月にいただいたコメントに、12月になってようやくコメントを返しているTIAなナツノです。いかがお過ごしてしょうか?

タンザニアの視察、いかがでした?私も今度、調査のお仕事でタンザニアに行きます(帰ります?)。アビジャンに住んでいらっしゃったようで。クーデターというと、2002年ですか?

今、コートジボワールが色々と混乱しているようですが・・・心配です。でも、いつものことながら、フランスのメディアが言いたい放題言っているだけだという話をイボリアンの友達からメールで何度も聞いているので、少しは安心しています。彼らなら、いつか安定した政府を建設することができると私は信じています。TIAですけどね(笑)。

今はどちらにお住まいでしょうか?