2009年12月2日水曜日

ニッポンの謎、アフリカへの誤解

「日本人は、十八歳になる頃までには、すべての人が携帯電話の一つや二つはつくれるようになるって本当?」

先週、ご飯を食べているときにこんなことを聞かれて思わず食べ物をのどに詰まらせてしまった。どうやら一部の象牙人の間では、こんな迷信が信じられているらしい。機械マニアはいるけど、さすがにケータイは作れないよなぁ。

ウガンダ時代には、JICAの専門家の方からこんな話を聞いた。

先日、とある地方政府の高官と会ったときのこと。「原爆のせいで、日本人の目があんなに小さく細くなっちゃったと、子どもの頃に学校で学んだ。かわいそうに・・・。」

とんでもないデマを教えるものだ。そして、それを今でもかたくなに信じている高官も高官だ。しかも、なかなか新しい考えを受け入れたがらない保守的なウガンダ人(しかも地方のお偉いさんだから、余計にオールドファッション)。彼女がどんなにそれを否定しても、結局は子どもの頃の学校の先生とやらのデマを信じて疑うことのない彼なのであった。

似たような話は他にも数知れない。ウガンダの国会議員さんに会うチャンスが何度かあったのだが、大真面目な顔をして私にこう聞いてきたセンセイがいた。「どうしてアジア人は、みんなthe same face(同じ顔)をしているの?」

同じじゃないですよ。まぁ言いたいことは分かるけど、もうちょっと言葉を選ぼうよ。仮にもあなたは国会議員なんだし。「似ている」とか「多くのアジア人に共通する特徴がある」とか、言い方は他にもあるでしょうが。彼の主張はこうだ。「ヨーロッパ人やアフリカ人は、個々の外見に大きな特徴があるから、一度会っただけでも分かりやすい。でも、アジア人はみんな同じ顔だから良く分からない。」

慣れの問題だと思われますよ、センセイ。私も、どうしてアフリカの人、特に男性が、みんな同じに見えるのかが分かりません。まだ、アジア人の男の子は髪型で識別できますが、アフリカ人の男の子はみんな髪型も一緒じゃないですか。そちらの方がよっぽど難しいと思われますよ。

同じくウガンダの市場で、「日本では政府がお金をばら撒いているから、国民は働く必要がないっていうのは本当かい?いいなぁ、俺もそんな国に住みたいなぁ。」とおじさんに言われた。ウガンダ人らしい発想だなと正直思った。そんな優しい政府がほしいのなら、北欧にでも行ってください。楽して金稼ぎたいのなら、日本じゃなくて中東の産油国にでも行ってください。

彼に対しては、日本人がいかに勤勉であるかを三十分も講義してしまった。だって、こんな誤解は許せないでしょ!!内容は、明治維新後の不平等条約にも関わらず、わが国がいかにして、国際連盟の常任理事国になるにまで登り詰めたのか、または、原爆を二度も落とされながらも、日本人がいかにして戦後復興を成し遂げ、世界の経済大国になったのかなど、多岐にわたった。資源のない日本の政府はそこまでボンボンではありません、残念!!

お宅の国は豊かなんだし、政府の汚職さえなくなれば、国民にお金をばら撒く余裕くらいできるんじゃないの?援助金だってたんまり届いてるんだし。そうすれば、多くのウガンダ人が望むように、働かなくても寝て食って生活できるようになりますよ。

彼ほど偏ったイメージを抱いている人に遭遇することはそう滅多にないことだが、それでも日本にさえ行けば極楽浄土のような生活が待っていると、短絡的な夢を抱くアフリカの人は少なくない。こんな人に「日本に連れて行け」と言われるたびに、私はうんざりしてしまう。

日本は確かに素晴らしい国だけど、日本で暮らすのは楽じゃないよ。夢を崩すようで悪いけど。

「日本で何がしたいの?仕事が見つかるとでも思ってるの?日本語が話せないと、まず仕事は見つからないよ。だいたい、日本人だって今は不景気で職探しには苦労してるんだから。それにね、日本で生活するのにいくらかかるか知ってるの?アンタの大好きなビールがいくらすると思ってるの?それに、もしもお金がなくなっても、頼れる家族や友達もいないんだよ?だいたい、日本はこことは違うから、お金の面で助け合うなんてまずはありえないんだよ?」

ここまでまくしたてると、大体の人はショックを受けて黙り込んでしまう。だいたいこう聞いてくる人は、飛行機代をも私に出してもらおうというムシの良すぎる人が多いので、自分の浅はかな考えと現実とのギャップに、余計にショックを受けるのである。

日本人相手には、理不尽な状況の下で選択肢のない人生を送らざるを得ない現地の人について、散々語っている私であるが、結構、現地の人相手には、シビアなものの言い方をしているんだよ。まぁ、バランスをとる意味でも狭間に入る人間はこうならざるを得ないよね。筑紫哲也さんもそう言ってた。

しょっちゅう、象牙人の中には「でも、俺は英語が喋れるぜ!!だから仕事を見つけるのも大丈夫だ!!」という人がいる。ところがどっこい、そんな人の英語は初心者レベルであることが多いんだな。日本では、誰も英語なんか話さないよ。東京の私の家に泊まりに来るカウチサーファーは、みんな言葉のせいで結構旅行には苦労してたし。こう言うと、日本に関する知識を何も持たずに、幻想だけで夢を語る人は「え!?日本は英語圏じゃないの?」と言い出す始末。確かに、アジアや中東、ヨーロッパの国(フランスとイタリア以外 笑)では、現地の言葉に加えて英語が話せて当然だ。でもね、日本はそうじゃないんだよ。

日本も日本で、アフリカに対してとんでもないイメージを持っている人があまりにも多くてビックリしてしまう。まぁ、アフリカについて知る機械なんてなかなかないのが現状だけどねぇ。

化粧品会社に就職したい人に聞かれた。「明日面接なんだよね、で、何言えばいいかわからなくて、マジやばいから助けてもらいたいんだけど。アフリカみたいな貧しいとこってさ、みんな食べ物すらないワケじゃん?そういう環境では、美に関する意識とかもうそんなのないんでしょう?化粧品事情とかどうなの?あ、でも、部族のデコレーションとか、そういんじゃなくてだよー、アハハハハ。」

これを聞いたときはものすごく悲しい気分なった。怒る気にもなれなかった。最後のわるあがき的な感じでゆがんだアフリカのイメージについて語ろうとしているその態度には正直失望したし、「アフリカ=食べ物もないくらい貧しい」「アフリカ=部族社会」という構図がこの人の頭の中で出来上がっているのかと思うと、やりきれない気持ちになった。彼は、少しの差はあれども、アフリカも日本もそんなに違いがないことを分かっていない。お金が少しなくたって、みんなパーティは好きだし、飲みには行くし、オシャレだってたくさんする。アフリカの人って、美意識は相当高いんだよ!!実際に統計があるそうなのだが、例えば、フランスに暮らすアフリカ系の女の子は、白人フランス人の女の子の約7倍のお金を化粧品につぎ込んでるんだって!!これ、もうちょっと詳しく調べてみます。

ウガンダ留学時代や大陸縦断旅行時代の、私のTIAなトラブルについて知っている私の家族や友達は、私のせいで、よっぽどアフリカに関するイメージが形成されてしまったに違いない。そういう意味では大きな責任を感じるし、あまりそのイメージがネガティブじゃないといいなぁなんて思ったりもしている。あれだけ文句ばっかり言っておきながら、「これを聞くみんなが、アフリカに対してネガティブなイメージを持たないといいなぁ」だなんて、勝手すぎる話なんだけどね、申し訳ないです。

だから、たまに「ナツノの話を聞いてると、自分が抱える問題なんて全然大したことがないんだって思える!!なんというか、頑張ろうっていう気になるよ!!」という人がいるのだが、そういうのを聞くとこちらとしては複雑な気持ちになる。誰かの励みになっているのはもちろん嬉しいけど、これってポジティブな励みではないからね。むしろ私は、日本や他の先進国で起こりがちな問題や、そんな国でみんなが抱える悩みの方が、よっぽど複雑でいやらしくて対処が面倒くさいと感じるわ。特に今の日本なんて異常でしょう。社会全体から病的なオーラがバンバン出てるし・・・。よっぽど本能で動いちゃってるアフリカの方が健全だと思われます。

まぁ私も人間だし、矛盾はしていると思うよ。過激なアフリカ批判をするときには「なにも、そこまで言わなくても・・・」「あいつは人種差別主義者だ」と思われたり言われたりすることもしばしばだけど、何も知らない人にこんあキレイゴト言われると腹が立つ。当然、誰だって自分が批判されるといい気分はしないから、私が腹が立つのもそのせいであるといえばそうなんだけどね。むしろ、アフリカを大嫌いになって、ここに原爆だろうと水爆だろうとなんでも投げつけてやるーーーー!!っていうくらいの怒りを覚えて(もちろん実行はしないよ、そんな資金力ないし、チキンだから)、周りにいるトンデモ野朗どもをサル呼ばわりして―。これくらいしないと、本当にこの大陸に恋し続けることはとてもじゃないけどできない。

ウガンダのことを未だに小馬鹿にしている私だけど、そのウラにはウガンダへのラブがあるからなんです、実は。というか、そういうことにしておきます(笑)。

今でこそ少しずつ埋まってきてはいるが、日本とアフリカの間には、地理的距離や心理的距離がありすぎる。この距離がお互いの顔を見えなくして新たな誤解を生み、両サイド間の政策や経済に大きな支障をきたしているのも事実だ。やはり、お互いがお互いについてもっと良く知ること、これしか解決策はない。

今日で、ちょうど通算してアフリカ生活も18ヶ月目を迎えた。まだまだ短すぎる滞在経験だし、ようやくアフリカ初心者を抜け出せるかな・・・くらいの私であるが、アフリカと日本の間にある距離を狭められるようにもっと頑張らないと。

一度、みなさんもアフリカのどこかの国に留学してはいかがでしょうか?守ってくれる組織のないアフリカ。旅行じゃないアフリカ。本当なら「アフリカに遊びに来てね」と言いたいところだが、旅行で見えるアフリカはアフリカじゃないから・・・。まぁ、そんなの世界中どこに行っても一緒だと思うけどね。

とにかく、旅行の相談は私まで(笑)!!もちろんタダで色々情報提供しますよん。うふふ。

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