2009年11月17日火曜日

世の中から消える小銭のナゾ

コートジボワールの通貨はCFAフラン。西アフリカの仏語圏の国々で使われている共通通貨だ。ユーロみたいだね。このCFAフラン自体が問題なのか、それともコートジボワールの金融政策に問題があるのか。人によって意見は様々だが、とにかくこのCFAフラン、深刻な小銭不足で非常に不便だ。小銭だけではなく、小額の紙幣も市場にあまり出回っていない。お金はどこに消えるの?これは、象牙の国の七不思議の一つだ。

この前なんて、自他共に認める「西アフリカの仏語圏で一番の本屋さん」で買い物をしたんだけど・・・200フラン(約40円)分のお釣がなかったために、50分近くも待たされるハメになってしまった。しかもお釣を探しているレジのおばさん、途中から他の店員と立ち話始めちゃったし(笑)。まぁ、これが本屋さんだったから、適当に立ち読みtかして時間はつぶしましたが。別に40円くらい・・・と思ったそこのアナタ。これさえあれば、物価がかなり高いアビジャンでも割と大きなパパイヤが買えるのだ。40円をナメてはいけない。

思えば、他のアフリカ諸国でも、小額紙幣の不足はかなり深刻だった。ウガンダでは、たとえ欲しいものをお店で見つけたとしても、それが買える可能性は五分五分だ。店に十分なお釣がある可能性が低いからね。寮の売店のお兄ちゃんや、いつも通る道で果物を売っているおばちゃんなんかは「今日はお釣りがないから、支払いは明日でいいよ」とよく言ってくれたけど。

ウガンダのお釣事情といえば・・・。これは私の一年間のウガンダ生活を振り返って断言できることなのだが、お店にいるのがニャボ(女性)である場合、特に気をつけなければならない。お釣がないとき、セボ(男性)店主の多くは、近くにいる人に協力してもらってでもどうにかしてお釣を用意する。しかし、これがニャボ店主だと「お釣がないんだけど」とだけ一言言って、ぶすくれてイジけてしまうのだ。こっちからしてみると、「お釣がないんだけど・・・・だから何なの?」と、逆に聞き返したくもなる。しかし、仮にこう聞き返したとしても、彼女たちはプイッとして、こう言うだけである。「別のお店にでも行ってよ。とにかくうちにはお釣がないんだからさ!!」

さすが店ニャボ。Lazyかつ自己中心的な態度と行動で相手を翻弄するウガンダニャボたちだが、中でも店ニャボとマケレレ女子は、ウガンダニャボの中でもとりわけ手に負えない類の人々である。しつこいくらいにがめついアラブやアジアの物売りと比べて、アフリカの物売りからは、商品を売ろうとするやる気が感じられない(もはや売るのすら面倒なのかしら)。そんな中でも際立ってやる気のないウガンダ人。「お釣を探しに行くくらいなら、客なんて追い返した方がマシだわ!!」と言わんばかりの店ニャボの態度は、なんというか、さすがである。

イボリエンヌ(象牙女子)の対応は、店ニャボのそれよりも遥かに誠実で好感が持てる。しかし、コートジボワールのお釣事情は、ウガンダ以上に深刻だ。なんせ、小銭がないのだからお手上げである。

アビジャンでは、スーパーと呼べるレベルのお店が人々の生活に溶け込んでいる。このスーパーだが、注意して見てみると、どこでもレジのところにbonbons(キャンディー)やらペンやらが必ず置かれているのだ。そして、お釣用に十分な小銭がないとき、レジのおばさんはこれらbonbonsやペンをお金の代わりとして活用する。「お釣用に十分な小銭がないとき」と先ほど書いたが、実際には小銭があるときの方が珍しい。だから、スーパーであまりにも細かい買い物をすると、余計なbonbonsやペンばかりが増えるハメになる。まったく。砂糖や塩が貨幣の代わりだった大昔じゃないんだから。こんなとき、貨幣経済の崩壊を垣間見たような気分になるのは私だけであろうか。

このようにbonbonsやペンで代用するとき、おばさんの機嫌次第では「申し訳ありませんが・・・」とか「小銭不足なので・・・」の一言もなしに、ぶっきらぼうに済まされてしまう場合が非常に多い。(だから結局、イボリエンヌも店ニャボも、どんぐりの丈比べなんだよね。)会社のオフィスのすぐ下にあるスーパーで、一度それをやられたことがある。そのおばさんは、普段は見かけない人だったが、彼女のあの日の態度はひどいなんてものではなかった。ぶっきらぼうにbonbonsを投げつけてきたため、「何コレ?私はこんなの買ってないんだけど」と言って抗議したのだが、店ニャボと同じようにプイッとぶすくれてしまったのだ。

その日は私もちょうど疲れており、そんな彼女の態度にいつもより敏感に反応したため、すぐさまスーパーのオーナーに文句を言いに行った。こんなとき、レジを総括しているマネージャーごときに苦情を言っても話が通用しないということは、過去のTIA(this is Africa)な体験から学んでいた。だいたいどこのお店でも、雇われている人というのは安い給料でコキ使われているだけの存在であるため、お客に対する誠実さだの仕事に対する情熱だのは限りなくゼロに近い(客が満足しようと不満であろうと、彼らには知ったこっちゃない話なのである)。これがレジのヒラおばさんであろうとマネージャーであろうと同じことだ。よって、こんなときはオーナーに直談判しないと、まともに取り合ってもらえない。

アビジャンの他のスーパー同様、このスーパーを運営しているのはレバノン人。レバノン人は、仏語圏アフリカ諸国経済の支配者だ。東アフリカなら、さしずめインド人だね。レバノン人もインド人もそうなんだけど、彼らは現地の人の扱い方(というより、あそこまでいくともはや『しごき方』なんじゃないかな・・・)をよく心得ている。また別の機会に書きたいが、とにかく彼らのアフリカでの金儲けの仕方はすごいなんてものじゃない。知れば知るほどドン引きするよ。

ただし、レバノン人もインド人も、現地のアフリカ人に対してはちょっと意地悪なのに、日本人の私にはとても親切だ。だから、お店の中で何か問題があれば、すぐに親身になって話を聞いてくれる。このお釣事件のあともそうだった。このレバノン人オーナーとは顔見知りであったこともあり、彼はまず最初に私に「ごめんね、彼女は新入りで、まだ研修中だから」と謝罪した。そして、この苦しい小銭恐慌を切り抜けるために、お店側がどんな涙ぐましい努力をしているのかを説明してくれた。

彼によると、銀行に行ってもCFAフランの小銭は手に入らないらしい。まぁ、銀行で小銭が手に入るんだったら、みんなこんな苦労はしなくて済むんだけどね。そこで登場するのが屋ヤミの人々。手数料6%(高っ!!と思うのは私だけでしょうか)を払えば、ある程度の小銭は確保できるらしい。つまり、20000CFAフラン(約4000円)分の小銭を手に入れるのに、手数料として1200フラン(約240円)払わなきゃいけないんだね。しかも、小銭に関しては完全に売り手市場であるため、6%という手数料を前にしてもオーナーとしてはどうすることもできないのだとか。

しかもこのヤミ小銭商人も、他のヤミ商人からもう少し低い手数料で小銭を仕入れているらしいではないか。「まぁ、商売ってこんなものだからねぇ、アハハ」の一言で笑い飛ばすレバノン人オーナー。きっと、色んな修羅場を潜り抜けて今に至るんだろうなぁ。それにしても、毎回思う。ヤミ経済には人間のたくましさがにじみ出てるね。特に、オモテ立った部分が麻痺しているような社会では、みんなウラで頑張っております。

日本や欧米、アジアなんかでは、小銭がたまり過ぎないように気をつけなければいけくらいだけど・・・今にして思うと、アレは贅沢だったんだなぁ。

先週の朝にはこんなことがあった。ウォロウォロのgareで、いつも乗る方面のウォロウォロに乗込んだ。既に三人の乗客がいたために、私が乗込めば出発できる・・・ハズが、このドライバーはちょっと変な人で、私が小銭を持っていないと知るや否や「降りろ!!」と食って掛かってきた。ちなみに運賃は600フランで、私の持ち合わせは2000フラン札のみ。普通このような場合、2000フラン札であれば、ウォロウォロの運転手たちはどうにかしてお釣を確保する。そして、たくさん同業者仲間のいるgareでは、お釣を見つけるのは難しいことではない。しかもこの運転手、別にお釣を持っていないわけではなかったんだよね。私は知っている。彼が実は、1400フラン分の細かいお金を持っていたことを。

あ、これも面白い話なんだけど、ウォロウォロの運転手って、100フランの距離分だけ乗りたい乗客が1000フラン札で払おうとすると、乗車を拒否するの。200フランとか250フランの運賃を1000フラン札で払う分には構わないみたいなんだけど・・・。どの運転手もそうだから面白い。200フランの距離を2000フラン札で払おうとすると、当然乗車拒否だけどね。

この変なウォロウォロ運転手の「降りろ!!」という要求にキレた私は、なにがなんでもコイツにお釣を払わせて、コイツのウォロウォロに乗込んでやると心に決めた。同じ方面に行くウォロウォロはなかなか見つかりにくいから、このウォロウォロを逃したら、あとどれくらいの時間待たなければいけないのか分かったもんじゃないしね。「降りろ??これが客に対して言うことなの?あんたがお釣を持ってることくらい知ってるし、それに第一、あなたの友達が周りにたくさんいるでしょ。彼らに頼んで、お釣くらい確保しなさいよ!!」

他の乗客三人も、私のお釣さえ確保されればすぐにでも出発できるワケだから、当然私の味方だ。口々に「早くお釣を渡して早く出発しなさいよ」「あんたもバカだねぇ」と言っている。

しかしこの運転手、すっかりウォロウォロに乗りこんだ私を、今度は力ずくで引きずり下ろそうとした。こんなウォロウォロ運転手は初めてだ。普通はみんな、ひょうきんで陽気なナイスガイたちなのに。このgareは毎朝利用するため、そこで働く人々はみんな顔見知りだ。ウォロウォロから引きずり下ろされようとしたとき、この力の強い大男から私を守ってくれたのは彼らだった。「あいつはいつもおかしいんだよ。Il a rien dans la tête(頭の中が空っぽ)なだけだから、気にしないで。」

このウォロウォロは諦めて、次に発車するためにスタンバイしていたウォロウォロに乗込んだ。このウォロウォロが出発するためには、あとどれくらい待たなきゃいけないんだろう(ウォロウォロは、他のアフリカの交通機関同様満席になるまで出発しない)・・・。なかなかこの方面のウォロウォロに乗る人って見つからないんだよね・・・はぁ。

と、その時、前のウォロウォロに既に乗込んでいた乗客三人が、怒りながら例の運転手に返金を要求しているのが目に飛び込んできた(ウォロウォロの運賃は普通は前払い)。緑と青のハデハデな服を着たおばちゃんなんて、今にも運転手に殴りかかりそうな勢い。どうしたんだろう?

とにかく払ったお金を無理やり奪い取り(象牙おばさん恐るべし)、乗客三人組は私が乗っていたウォロウォロに乗込んできた。どうやら、小銭をキープすることに夢中になりすぎた運転手は、細かいお金を持っていない別の乗客の乗車も拒否したようだ。あと一人乗せれば出発できるのに!!しびれを切らせた三人は団結して、この運転手を見捨てたようだ。さすがにこの展開にこの運転手も慌てふためき、わざわざ私のところにやって来て、「お釣を今すぐ渡すから、頼むから戻ってきてくれ」と懇願する始末。が、時すでに遅し。私たち四人を乗せたウォロウォロは、地団太を踏む彼を横目に出発した。細かいお金がいくら貴重だからと言って、欲張りになりすぎるからこういう展開になるんです!!

このブログでは、事あるごとに、幸せのバナナ王国のウガンダ人と象牙人の行動パターンを比較するのがもうおなじみになりつつありますが、こんなときセボとニャボなら、絶対に他の乗客と団結して対抗するなんてことはしないだろうね。というか、そんな発想にすら至らないんじゃないかな。「アイヤイヤイヤイヤー、この運転手はserious(真面目)じゃないんだから、もう全く。」と口々に文句を言いながら、行動を起こすだなんてそんな面倒なことは絶対にしない。そんなことするくらいなら、たとえ一時間待つハメになろうと、お釣を持った奇跡の乗客が登場するまで彼らは確実に待ち続けるだろう。雲でも眺めながらね。嗚呼ウガンダ。

ここの普通の人って、あまり大きな額のお金を使うことがないよね。市場で果物を買ったり、わずかな額の交通費を出したり、ちょっとしたおやつを買ったり。ケータイの通話料(プリペイド式)に関しても、一気に一週間分の通話料をドーンと払う人は一部のお金持ちのみで、大体の人はみんな、その日の分の通話料をチマチマと払っている。一回の通話に必要な分を電話する度に払っている人もいるくらいだ。(このようにチマチマ払わないと生活していけないという現状があるから、ある意味仕方がないことなのだが。)だから、人々の日常生活で10000フラン札(約2000円)が登場する機会などそんなにあるワケではないんだよね。

それなのに、そんな人々の消費パターンを無視(?)した政策のせいで、社会の中で最も必要とされている小銭&小額紙幣の供給が需要に追いついていない。私は金融政策に関する知識がゼロなのであまり偉そうなことは言えないが、CFAフランに関して言えば、もう少し現状を考慮して、少額貨幣の流通を増やせばいいのにといつも思う。っていうか、増やしてくれないとかなり迷惑なんですけど(怒)。

世の中から消えるお金は・・・もしかすると、警察や軍隊のワイロになっちゃてるから、人々の日常生活圏からなくなっちゃうのかもね。そう説明すると納得できるかも。なんちゃって。

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