2009年9月4日金曜日

コートジボワールのビジネスのジョーシキ

プレゼンの様子。このカラフルなスーツは、これでもここでは地味な方。


先日、クライアントを集めての「カクテル・パーティ」をうちの会社で行った。

これは、もう既にパートナーとして一緒に仕事をしている、あるいは、将来的に一緒に組んでやっていきたいなとこちらが考えている会社やお店の社長を招待して、プレゼンテーションをしながら軽食を食べようという企画だ。

なぜ軽食を準備しなくてはいけないのか。それは、アフリカでは、食べ物や飲み物を準備しないと人が集まらない(というか、準備するのが常識である)からである。

ウガンダにいたときも、多くの援助団体や大学関係の集まりに参加したが、必ずソーダ(ジュース類)と軽食が登場した。とあるNGOの人と一緒に、ウガンダ東部の村でのHIV/エイズ予防研修に参加したときもそうであった。多くの人を周りの村からも呼ぶために、タダでさえ資金難であったこのNGOは全員分の飲み物と、少しのおやつを調達しなければならなかったのだ(でも、日本でだって、地域の講習会なんかに参加する人のためにおやつぐらいは出すけどね)。農村の場合、移動手段の提供や交通費の支給は当たり前だし、謝礼金を支払う場合もあるらしい。そうでないと、そもそも研修の内容に興味を持っている人すら皆無に等しいのに、畑仕事を休んで長い道のりをかけてまでして誰が来るというものか。たくさんの援助団体が「住民に○○の知識を普及させている」とか「△△教育の実践」なんて偉そうなこと言ってるけど、実際は「住民であるお客さまにに□□をさせていただいている」の方がよっぽど正しいんじゃないかと思ってしまう。

モノは言いようですものね。とにかく、住民とともに開発事業を行って、地域社会を変えていく(そもそもどんな方向を目指した変化なのか、これが援助団体のための変化なのか、本当にその地域に住む大多数の人のための変化なのか・・・)ために、皆さん並々ならぬ努力を行っているのである。果たしてこれが、最近流行の「参加型開発」なのかどうかは、私としては大きな疑問だが。

話を元に戻しましょう。

準備される軽食は、ウガンダではサモサ(もともとはインドの食べ物。三角形をした揚げ物)やチャパティ(これもインドの食べ物で、ナンのような感じ。でも、アフリカのチャパティは、油でギトギトしていてインドのそれとは全然違う)が主流であったが、こちらコートジボワールでは・・・さすがおフランスの影響が浸透しているね!!クロワッサンやパン・オ・ショコラ(クロワッサンにチョコが入ったようなパンで、クロワッサンと並ぶ、フランスの朝ご飯の王道)なんかがスタンダードらしい。

ちなみに、新鮮な果物が溢れているのに、どうしてそれを出さないのか。果物の方が安いし健康的だしいいではないか、と提案してみたものの、アビジャンではクロワッサンレベルでないと相手にされないらしい。新鮮な果物はあまりにもコートジボワール人にとって当たり前すぎるみたいだよ。だからマンゴーやパパイヤが高級品として扱われている国から来た私にとっては、「なんとも贅沢な!!」と一喝してやりたいところだけど。それに、今でこそコートジボワールとフランスの関係は最悪だけど、コートジボワール人はフランスの製品とか文化が大好きなんだって。だから、クロワッサンとパン・オ・ショコラの登場はà la mode(イケてる)なんだとか。

クライアントを招待するには、次のようなステップを踏むようだ。

まずはカクテル・パーティの2,3週間前に、今回の趣旨を説明するために簡単に電話をしてアポをとる。次に、開催の1週間から5日前くらいに、正式な招待状を携えて挨拶のために、各招待客を訪問する。 それでもって、前日に1回と当日の朝に1回、カクテル・パーティの存在が忘れられないようにしつこく電話をする。

え??仕事で忙しいであろう社長や店長を招待するのに、1週間から5日前に招待状を出すの??遅くないかい??

というのが私の正直な感想だったが、「1週間よりも前に招待すると、みんなどうせ忘れちゃうよ。5日前に招待しても、覚えているかどうか怪しい人は怪しいし」と広報担当のジョン=ジャックに言われ、大きく納得した。

ベネトンがあっても、夜中にちゃんと街灯がついても、ここはやっぱりアフリカなんだよなぁ。

私は月曜日にアビジャンに到着したため、月曜日の午後から早速、招待状を配る同僚についてまわった。だいたいいつもの感じだと、カクテルには20から30人は集まるらしい。「面白そうな企画ですね、是非カクテルに参加させていただきます」「じゃぁまた明日!!」など、好感触な反応が多く返ってきたため、今回もたくさん人が来るのかなと、期待が高まる。

当日は、「一番品のある」服を着てくるようにとのことであった。アフリカの人は一般的に着倒れの人々で、とにかく見てくれだけは、どんなに貧乏であってもきちんとする。特に旧フランス領にいたっては、オシャレで見栄っ張りなフランス人の志(?)を立派に引継いでいるのか、「とにかくともかく、アフリカとフランスのコンビネーションであるヤツラはすごい」という噂はよく耳にしていた。世界中で、きちんとした身なりというのは大切なビジネス・マナーの一つであろうが、ここコートジボワールでは、それが意味することの重みが他の場所とは全然違うのではないだろうか。

ところが、私は品がある服などほとんど持っていないために困ってしまった。こんな時、魔法使いでも現れて、私のボロいTシャツとビリビリのジーンズを、着倒れフレンチ・アフリカンに認めてもらえるような品のある服にしてくれたらいいのに!!

などとバカな妄想をしても、魔法使いが灼熱のアビジャンに現れるハズもなく、当日は大学の入学式に着た黒のスーツを地味に着た。「地味に」というのは、アビジャンのマダムやマドモワゼルの間では、色とりどりの服にピカピカのアクセサリーをドンジャラとつけて、ちょっと古いけどヤマンバギャル顔負けのお化粧をするのがjolie et belle(かわいくて美しい)とされているからだ。ジャラジャラというのが本来は正しい擬態語なのであろうが、彼女たちの場合、ドンジャラという表現の方が近そうなので仕方がない。

それにしても日本女子は大変だね。ボタンの数やスーツの形だけで「派手だ」とか「地味だ」とか判断されちゃうんだから(特にシューカツ中の日本女子)。カラフルなアフリカンの生地をふんだんに使ったビジネス・ファッションを目の当たりにした今、ボタンの数ごときで派手だだのなんだの、私はもう言えません。

ところがこのカクテル・パーティは、お世辞にも成功したとは言えなかった・・・。

開始時間の10時になっても、誰もお客さんが到着していない。でも誰も驚かない。私もこれくらいでは動じない。

アビジャンの交通渋滞+アフリカンタイム=1時間遅れての開始

この計算は、常に頭の中に入れておかないと。が、しかし・・・

10時半になっても誰も来ない。その10分後に、ようやく最初のムッシューが登場した。しかし、10時50分になっても、他に誰も来ない。さすがのTIA(this is Africa)でも、さすがにこれはやばいんじゃないか。テーブルには、食べ物がどっさり用意されている。なのに招待客がたった一人だなんて・・・。

それでも、同僚は誰もがみんな落ち着いていて。プレゼンの最終確認をしているではないか。そうそう。アフリカの人って、こういうがかりな状況にもめげずにたくましく頭を切り替えられる人が本当に多いんだよね。貧しい人や女性なんて特にそう。様々な困難にも泣き寝入りせずに、笑って生活しているアフリカの村の母ちゃんのたくましさには、特に頭が下がる思いです。

とりあえずムッシューをこれ以上待たせてはいけないということで、プレゼンを始めることにした。1人を相手に5人が発表をするという、ちょっと寂しいプレゼンになっちゃったけど。

私はこの日のトップバッターで、会社の概要を簡潔に説明した。フランス語でのプレゼンにはまだ慣れていないので、たとえ相手が1人であろうと緊張する。

私が話し終えたちょうどその時、緑のドレスを着たマダムがのっぺりと登場した。時計を見たら、11時をまわっていた。とりあえず2人。この2人を相手に発表は進んでいって、質疑応答もかなりいいものができた。

12時半近くになり2人を見送ろうとしていたその時、2人組の男性が「いやー、すっかり遅れちゃって申し訳ないですねー」などと言いながら入ってきた。2時間半の遅刻か・・・。まぁ、覚えていてくれただけよしとしよう。そして、この2人を相手に、もう一度プレゼンを行った。

それにしても、他の招待客はどこへ行ってしまったのか――。カクテルの後に開かれた反省会で全員一致した(そして私も、薄々はそうかな、と思っていた)ことがある。そう、ラマダンだ。ラマダン中なのにも関わらず、「カクテル・パーティを主催しますのでいらしてください」という形で招待をしたのがまずかった。(言い方悪いけど)普段は招待客を釣るための要素である食べ物が、今回はあだとなってしまった形だ。これでは誰も来ないのは当然である。

新しい企画、今までにない試みを実行する際、人を巻き込んで上手くやっていくのは非常に難しい。ましてや社会に対する人々の信用が低いアフリカだ。最初の方は人が集まらなくても、根気と忍耐で諦めずに続けていくしかない。が、この難しさにラマダンが加わると、このような残念な結果に終わってしまう。

いや、これは残念な結果なのではなく、次につなげるためにいい事を学んだのだ。とりあえず、来週と2週間後に別の企画のプレゼンのためにもう一度似たような企画を行うけれど、今度こそはしっかり作戦を練らないと。

3 件のコメント:

紗良 さんのコメント...

夏乃ちゃんお疲れ様・・・
というかこのカクテルパーティ・・・・・笑
いやもう、ラマダン中はほぼすべての活動が停止するアフリカの町並みを思い出したよ・・・・
そしてアフリカママたちのオシャレはすごいよね!!
あのカラフルスーツ・・・でも私達が着ても笑えるくらい似合わないんだよねぇ><;

まゆシャン さんのコメント...

もーほんとにほんとになっちゃんのがんばりにも頭がさがる思いだよー!こうやって強く、そしてしなやかになっていくのね、あなたは・・・。これからもブログ楽しみにしてるから、アフリカをまったく知らない私に色々教えてね。
マレーシア行ったら、私も発信できるようにがんばるよー!

natsuno さんのコメント...

さら>ははは。今日ね、もう一回リベンジカクテルやったよ。今日は、アフリカ的には上手くいったからよかったよかった。ダルとか、普段からダラダラサラームなのにラマダン中は更にダラダラダラエスサラームになってそうだね。うける~

まゆシャン>マレーシアだなんてイボリアンに言っても???だろうね笑。ブラン鈍は結局どうすることになったの??マレーシアも遊びに行きたい!!