2007年11月1日木曜日

パン・アフリカニズムが世界を支配する???

これを信じて疑わない二人の学生と食事をした。
3時間ぶっ通しで話をしたので、何を食べたか忘れてしまうほどだった。
彼らの見解を要約すると、このようになる。


今の国際社会は経済から教育に至るまでが西洋に支配されており、またイスラム世界に注目が集まっている。
しかし、それはいずれ終わりを迎えるだろう。
資本主義も崩れるに決まっている。
そう、一つのアフリカ(アフリカ・アズ・ワン)が、ゆくゆくは世界を支配するのだ。
パン・アフリカニズムの時代がやって来るのだ。
パン・アフリカニズムこそが人類最大の幸福であり、混乱した世界を光へと導くのだ!!

若さの故か、私が「そんなのありえないよ」と様々な事実を根拠にして反論をしても、一向に聞こうとしない。
どんなに説明をしても、次のような答えが返ってくるのである。
「冷戦の頃に共産世界の崩壊を誰が予想した?現状から未来を予測するのが必ずしも常に正しいわけではないことを、人類は冷戦の終結をもって肌で感じてきたはずだ。パン・アフリカニズムの可能性を誰も否定はできない。だからこそ、いずれは俺たちの時代がやって来る。」

出たよ、井の中の蛙のウガンダ人。

そういえば、ウガンダ西南部、ルワンダとコンゴの国境近くにあるブニョンニ湖に出かけたとき、地元のガイドが「このように多くの島が点在している湖は、世界中どこを探してもここだけだ。それなのに、なぜ外国人観光客には知られていないのだろう。」と嘆いていた。

信じられない話だが、彼はマケレレ大学で観光業を専攻したエリートで、地元の大学でも教鞭ととっている。
私は、時折とんでもない<世間知らず>ならぬ<世界知らず>のウガンダ人に出会う。

話を戻そう。
この討論以前の私のウガンダ滞在期間はわずか6週間であったが、その短期間の間でも見聞したものを元に、以下の内容を彼らに言った。

第一に、腐敗が横行していて指導者たちは自分の利権しか考えていないようなこの大陸が、一つの理想に向かってまとまれるわけがない。
庶民も、「公共」だとか「みんなのために」という意識が低すぎる。

第二に、世界の他の地域と同様、アフリカの貧富の差は広がる傾向にある。
表向きは血にまみれた紛争から見事に復興し、経済成長も順調に進んでおり、エイズ率も大幅に減少し、多くのドナー国から「アフリカの優等生」として見られているウガンダでさえそう。
加えて、人々の心の奥では金持ちVS貧乏人の対立構造が生まれつつあるような印象を私自身受けている。
同じ一つのカテゴリーに属す人々の間でも、経済格差は生活レベルや選択肢の幅を明確に細分化しており、さらにそれがメディアによって誰の目にも明らかになっている。
こんな時代に、単にアフリカ人であるから、黒人であるからという理由のみでは人々の心は動かない。過去に植民地支配という同じ苦しみを乗り越えた事実が起爆剤となって生まれた強い兄弟意識は廃れてきており、代わりに「貧困」という新たな敵との戦いを共有しているもの同士の結びつきが今後ますます深まるのではないだろうか。
極端に言うと、アフリカは二つに分かれてしまうのではないかという懸念の存在である。

第三に、根本的な話ではあるが、これほどまでにアイデンティティへの意識が高まりを見せている現代において、ある特定の人々のみに通用する概念や制度が新たに世界的に採用されるとういうのは夢のまた夢だ。
二人の学生は人口爆発を理由にその可能性を熱弁していたが、青年たちよ、人口爆発はアジアもイスラム世界も同じなのだよ。
とりわけ南アジアの台頭を過小評価しているのが皮肉であった(東アフリカでは、インド人によるビジネスが活発であり、彼らは必ずしも地元の人から良い目では見られていない)。

書き取って記憶する。
マケレレ式教育の寵児ともいえる彼ら。
この大学に入って、エリートコースまっしぐらの順風満帆の人生を歩んでいると誇らしげだった。
たくさん勉強しているだけあって、持っている「情報」は多いのに、それが知識となっていないのが残念だ。
メディアや既存の権威を疑う姿勢と何冊かの本を薦めて、その日はとりあえずお開きとなった。

しかし、彼らの未来予想図にはあれほど反論した私であるが、パン・アフリカニズムが本当に形成されたとしたら、(彼らが言うほどの程度には浸透しなくとも)世界にどのような影響をもたらすのか、ウガンダに着てからよく考えるようになった。

正直なところ、働かない、考えない、他力本願、権力に弱い、非効率的など、一般的にこの社会を見渡せばネガティブな形容はいくらでもできる。
しかしその一方で、彼らには「実は、ものすごい能力を秘めているのではないだろうか・・・」と思わせる何かが確かに存在する。
そしてそれらは、私たちの思考回路を占領している西洋的価値観では決して見ることができない。
まずはそれを一度壊す試みが必要だろう。

1 件のコメント:

oldpond さんのコメント...

『あなたにできること、
できると夢見たことが何かあれば、
それを今すぐ始めなさい。
向こう見ずは天才であり、
魔法であり、力です。
さあ、今すぐ、はじめなさい。』
ゲーテ

根拠のない自信、は好きです。